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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年2月8日 火曜日 (第5回)
テーマ 「連帯保証人について」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | ラジオ前の「あなたの生活」を応援する「ごごばん!法律クリニック」ですね。みなさんに身近なトラブル「法律上の問題」についてお話を伺います。スタジオには白川勝彦法律事務所、白川勝彦弁護士です。今日も宜しくお願いします。 |
白川 | よろしくどうぞ。 |
堀 増山 | 宜しくお願いします。 |
上柳 | 早速です、今日は東京都 カズエさん44歳の女性の方からの相談メールです。 |
話者名 | 話の内容 |
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増山 | 今、主人との離婚を考えています。現在の夫婦生活を考えると主人も離婚には同意してくれると思っています。 |
上柳 | 連帯保証人、それは夫婦ですからね。いつ何時ということになりますけども。こういうケースは多いんですか? |
白川 | 多いですね。正直言ってですね、いろんな理由で家をなくされたり、全財産をなくしたりする。ほとんどのケース、今は多重債務ってことで自分が借りてという事もありますけども、ほとんどは、いわゆる保証ですね。そのために昔から家を失ったって人は、多いんじゃないでしょうか。 |
上柳 | そもそも、この連帯保証人というのは、どういう立場になるのでしょうか? |
白川 | 連帯保証人も普通の保証人も、多少の違いはありますが、ほとんど関係ないです。保証人、あるいは保証契約という事をですね、ほとんどの人が正しく理解してないんですね。よく“何々さんは私に絶対迷惑をかけないから保証したんだけども、どうも商売がうまくいかなくなって、私のところにきそうだ"と、“きちゃった"というようなことを言う人がいますよね。 この方の相談も、そんなことかな? 離婚するんだから、ということなんですけども、ここに書いてある通り、保証契約ってのは本人さん、借りた人、本人さんとは基本的には何の関係もないんですね。法律的には。あくまでも債権者と保証人の契約、保証契約というんです。 |
上柳 | 本人と保証人じゃなくて、あくまでも債権者… |
白川 | あくまでも債権者対保証人が、「万一の場合は私が代わって返します」─ この契約なんですね。だから、この本人というのがどう言ったとかってのは、関係ないんです。 |
上柳 | そうか! 迷惑かけないっていくら本人が言っても、関係ない。“債権者は返してくれ"ですもんね。 |
白川 | そういうことです。契約当事者は、あくまでも債権者ってことで、これをよく押さえておいてくださいね。 |
上柳 | なるほど! |
白川 | ただ、見ず知らずの人からね、保証人になってくれなんて言われることはないじゃないですか。だからそこで色んな事があるんだけれども…だけど基本的に法律的には関係ない。ですからカズエさんのご相談ですけども、今回離婚することになりましたと言っても仮に離婚したとしても何も関係ないです。 |
上柳 | 離婚と同時に連帯保証人も取り消したい…離婚と連帯保証人は関係ない! |
白川 | あくまでもね。だから、最後に法的に保証人をやめることはできますかっていうのがありますが、法的にはやめる権利はありません。 |
上柳 | 先生、これどうしたらいいですかね… |
白川 | ただですね、場合によったら、ほとんどこの方がもう返せないってことですと、私のところに相談に来る、と。そのような場合 ─ 例えば、それが何千万で多額の場合、破産だとか民事再生を申し立てれば、自分の返すべき債務については、もう裁判所が払わんでいいという…あるいは、思いきって五分の一とかに縮減はしてくれますよ。 ただ、債権者が「法的に対して取り消して下さい」という相対の交渉ではできない。あくまでも、債権者が「そういうことならいいですよ」と、あるいは「別の人を立ててくださるのならばいいですよ」と言って、債権者が同意した上では、それは出来ますけども、法的には、少なくとも離婚したからとか、友達だったけど仲が悪くなったから取り消しというのは、あくまでも債権者と保証人との契約ですから、基本的には“関係ない"と。 ここをね、ほとんどの方がどうも保証契約は本人との関係みたいに感じてる人が多いんですね。 |
増山 堀 | 夫婦だったらねぇ。そう思っちゃいますよね。 |
白川 | 私、いつも言うんだ。昔からこういう不幸になった人をいっぱい見てますから。 |
上柳 | ご覧になってますか。 |
白川 | 私はね、こう言いますよ。もし保証人に頼まれることあるでしょう。親の遺言で、株と保証人にだけはなるなと。株を買うことと、人の保証人に判子押しちゃダメよと。親からの遺言で、私はお断りしてます。ただ、逆に何らかの関係があるから保証人になってくれと… |
上柳 | 情がからんできたりとかね。昔世話になったからその代わりとかね。 |
白川 | だから、判子押すのはタダでしょ。ただよく言うじゃない、タダほど怖いものはない。 だから僕はね、こういうケースの場合、なんかお世話になった方が僕に頼みがあるから、だから僕はその時例えばね、10万でも20万でも作れるなら「私はコレ貸すなんて言わない。あなたに逆に大したことはできないけども、これ差し上げるから…悪いけども、親の遺言で保証人にだけはなるなと言われてるんだ」と言って、私は断ってきましたね。 |
上柳 | なるほど、なるほど。 |
白川 | それから、今私がやってる債務整理の仕事の中でもう一つ大事なことがあるのですが、本人が500万の借金があっても、破産をすればその債務を払わないでいいのですけど、ところが、それに誰かの親が保証人になってくれた場合、本人の債務はなくなるのだけども、だからといって保証した親御さんの保証がなくなるわけじゃない。あくまでも、この保証人がね、破産したわけじゃないですから…そういうとこで困ることは、よくあります。 |
上柳 | これあれですね、友達に頼まれたとか情で連帯保証人ってのは、本当に親の遺言でダメだということは分かったんですが、ご夫婦とか親族で連帯保証人ってことになる時は、よ〜く話し合った方がいいですね。 |
白川 | そうですね。だから、その時に何か関係があるから、頼まれるかもしれない。じゃあ私は、いまこれだけの金なら作れる、と。例えば、50万なら作れるけども。 |
上柳 | もう、それであげるということで。 |
白川 | あげるつもりで、「これで頑張りなさい」というのが、私は、こういう時の正しい解決の仕方なんじゃないかなと思ってます。だから、本当に判子押すのはタダだし。 |
上柳 | 本当、そうですね。よ〜く考えてください! もうこのお金返ってこないって思ってあげちゃうという解決方法が、ひとつあるようです。 |
白川 | 解決方法じゃないけども、なんか関係があるから判子頼まれるんだけども、それがまた友人として出来る事は、そこまでじゃないでしょうか。 |
上柳 | そこまでですね。参考になりました。先生今日はどうもありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第4回 | TOP[t] | 第6回