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 FORUM21   2007年8月15日 通巻132号

特集 自・公惨敗!─参議院選挙総括

歴史的大敗が歴史を動かす

白川  勝彦  (元・衆議院議員)

私の予測と目標値

本誌7月15日号(通巻130号)で私は次のように書いた。

  1. 衆議院で自民党と公明党は3分の2をはるかに超える化け物のような議席をもっている。だから今回の参議院選挙で、国民は自公“合体"政権を倒すことはできない。しかし、国政選挙である 参議院選挙で過半数をとれなければ、安倍政権は国民から不信任を受けたことになり、退陣を余儀なくされることになる。
  2. ほとんどの選挙予測は公明党が獲得する議席を所与のものとしている。果たしてそうだろうか。投票率が10%も上がれば、公明党の議席は比例区でも選挙区でも確実に減少する。今回の選挙のひとつの注目点は、公明党が何議席とれるかだと私は思っている。
  3. 公明党の獲得議席を3くらい減らして10議席前後、自民党の獲得議席を40議席前後にしてしまえば、与党は参議院の過半数に10数議席及ばなくなる。このくらいにしておかないと、与党は現在野党としてカウントされている議員を引き抜いて帳尻を合わせてしまう危険性がある。

私の予測や目標はある部分ではそのとおりになったが、予測とは違うものになったところもある。この原稿を書いている時点(8月6日)では安倍首相が続投することになっている。自民党の獲得議席が40を割ったのに安倍首相が続投するとは思わなかったし、自民党がこれを許すとも思わなかった。予測が外れたというより、自民党がこれほど馬鹿な政党に成り下がったとは不明にも思わなかった。「創価学会党化した自民党」と規定した私だが、私にはまだ幾ばくかの幻想があったのであろう。自らの言動に忠実でなければならないと反省していることころである。

呪縛から解放される創価学会会員

各種の選挙予測が所与のものとしている公明党の予想獲得議席はそれほど確定的なものではない、と私が指摘したことは間違ってはいなかった。結果はご案内のとおり選挙区2、比例区7の合計9議席であった。7月6日時点で、今回の参議院選挙の目標を自民党40議席前後・公明党10議席前後とすることはかなり勇気のいることであった。

しかし、この目標を達成しないと国民と野党が期待しているような政局は生まれないと私は思っていた。この目標値をクリアしなければならないことには確信があった。私は公明党の議席を13とすることに疑義を呈しはしたものの、その戦略・戦術は投票率を上げることだといった。本当は自民党が新進党との戦いでやったように政教分離問題を徹底的に訴える手法があるのだが、民主党をはじめ野党がそれをすることは残念ながら期待できなかったからである。

今回の選挙に対する関心が高いとの世論調査の結果を報道したが、投票率は58.64%であった。投票率が下がるといわれている亥年選挙としては高いのかもしれないが、前回の参議院選挙に比べ2.07ポイント上がっただけだった。私が提唱した“水攻め"作戦は必ずしも行うことができなかったのである。それにもかかわらず公明党は東京都選挙区をはじめ候補者を擁立した5選挙区で2議席しか獲得できなかった。このことを7月6日時点で指摘する選挙予測はなかった。

この結果がもっている意味は計り知れないものがある。まず創価学会・公明党の不敗神話が崩れたことである。公明党は勝てるところでしか候補者を立てなかった。その代わり候補者を擁立したところでは、なんとしても勝たなければならなかった。創価学会の会員は、ヘトヘトになるほど動員された。今回の結果は、不敗神話という呪縛から創価学会会員を解放することになるであろう。この呪縛がなくなれば、もともと無理のある創価学会・公明党の選挙戦術を行うことに重大な障碍が出てくるのである。

自民党がもつカリスマ性

呪縛から解放されるのは創価学会会員だけではない。自民党の硬い支持母体とされてきた建設業界などの各種団体も同じである。自民党には何があっても自民党支持という団体がかなりあった。自民党を支持していても自民党は自分たちを平気で切り捨てている。そうである以上、もう自民党を支持する義理はないだろうという動きが今回の選挙で明らかにあった。

いかなることがあっても自民党を支持しなければならないという呪縛から解放されて、ギブ・アンド・テイクの関係に劇的に転換したのである。これが1人区における自民党6勝23敗のいちばん大きな原因だと私は思っている。だからといって自民党や公明党がいままでのようにギブの政策を行うことは、財政状況その他の理由でもはや不可能になっている。

さらに重要なのは、多くの国民が政権を担当できるのは何も自民党だけではないと思い始めたということである。これも政権政党は自民党しかないという呪縛からの解放といってもよいと私は思う。なんといっても50年以上にわたって自民党だけが政権党であった事実は重い。細川・羽田非自民連立政権が11ヶ月で崩壊した事実も重い。結果として政権担当能力があるのは自民党だけだという認識が国民の間にあった。自民党のカリスマ性といってもよいのかもしれない。有効な統治のためにカリスマ性は否定されるものではない。

自民党のそれなりの中枢にいた者からみれば、政権担当能力をもった唯一の政党は自民党しかないなどということは虚構以外の何ものでもない。しかし、世間が勝手にそう思ってくれることは有難いことであった。賢明な自民党の指導者は、少なくともこの虚構を崩すような愚かなことは慎んだ。カリスマ性がもつ政治的価値を知っているからである。

疑われ始めた自民党の政権担当能力

郵政造反議員の復党問題からはじまり宙に浮いた5000万件の年金記録・赤城農水大臣の問題発言と言動でとどめを刺された一連の安倍首相のパフォーマンスは、あまりにもお粗末なものだった。それは安倍首相の政権運営能力を疑わせるだけでなく、これを許容している自民党の政権担当能力にも疑いをもたせていった。

また自民党としては気を使ったつもりなのであろうが、公明党を必要以上に政権与党として露出させたことである。創価学会や公明党がどのように言おうが、創価学会と公明党は一体のものと国民は捉えている。創価学会や公明党に対する反感や拒否感は依然として強い。テレビなどの討論番組で自民党と一緒に与党席に座って政権党であることをしたり顔で自慢している公明党議員をみて、国民は政権党というカリスマ性に疑いをもち始めたのである。公明党に政権与党が務まるくらいなら民主党をはじめとする野党にも政権を担当することができるのではないかと感じたのである。

すべてのコインには、表もあれば裏もある。創価学会・公明党を味方につけた自民党は選挙において一時的は強くなった。しかし、多くの人たちの信用や好意がないばかりか、逆に強い拒否感や反感のある公明党と一体となった姿を露出することによりカリスマ性を失っていったのである。

力だけで統治を行っている典型が軍事政権である。力だけでも統治できないことはないが、それは大きなエネルギーを必要とする。賢明な統治者はこのような愚かなことをしないものである。自民党は公明党の腕力に過度な期待をもち過ぎたのだ。だが、創価学会・公明党の腕力でわが国の統治を行うことなど所詮無理なのである。自民党と公明党がもっている腕力と手練手管を駆使しても、自公“合体"政権は今回の危機を乗り越えることはできなかった。自公“合体"政権を弱いとみた国民は、嵩にかかって自公“合体"政権を政権の座から追放しようと迫るであろう。

歴史的大敗が歴史を動かすのである。

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