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北朝鮮問題

06年12月21日

No.283

連日のように6ヶ国協議のニュースや北朝鮮報道がなされている。私は北朝鮮報道に接するたびに、かつてソ連に行ったときのことを思い出す。私はソ連が崩壊する以前に3回モスクワなどを訪問した。1回はモスクワ・ハバロスク・サハリンと回ったこともある。ソ連の時代にサハリンまで行った国会議員は何人もいなかった。自民党の国会議員でなくとも普通の日本人ならば、これが同じ人間の住む国・社会なのかと感じることばかりだった。これだけいろんなものが違うのだから、冷戦=戦争は仕方がないと思った。しかし、私にはひとつだけ変わらぬ信念があった。

確かに社会主義のソ連とわが国はあらゆる分野でたいへんな違いがあった。友好関係を築くといってもそんなに簡単なことでないことは明らかだった。しかし、磐石にみえる共産党支配体制も未来永劫に続くことだけはあり得ない。徳川家康が周到に組み立てた徳川幕藩体制も260年で崩壊した。ソ連という体制もいつか必ず崩壊するときがくる。現在はとても共存共栄はできないが、ひとつだけいえることがある。それは、過去も現在も将来もソ連(ロシア)とわが国は隣国であるということだ。だとしたら、ソ連(ロシア)について一生懸命に勉強しておくことだけは必要だということであった。

私は新潟県出身の政治家だ。ソ連についての情報は日本でも少ないが、シベリアについての情報は世界的にも限られている。だから新潟県としてはシベリアだけでいいから世界でいちばんの情報を収集するようにしなければならない。それは将来きっと大きな意味を持つことになると考えた。ソ連が崩壊して、環日本海構想ということが盛んにいわれるずっと以前のことである。シベリアは人類に残された最後のフロンティアだ、という考えを私は抱いていたからである。私たちの目が黒いうちにソ連があっけなく崩壊するなどということは、私たちの世代ではとても考え得ないことであった。ソ連は崩壊して、ロシアとわが国は晴れて隣国同士になったのだが、ロシアとの友好関係が冷戦時代と劇的に変わったとは思えない。環日本海構想もかつてほど熱気がないように感じられる。

北朝鮮とわが国の違いは、かつてのソ連とわが国の違いと基本的に同じであろう。もっとも大きな違いはやはり政治体制の違いである。政治体制が違いは、私たちが考えるよりいろいろな分野ですべてが異なるのである。そのことを私たちは知らなければならない。同じ社会主義体制でも金正日は違うという人もいるようである。しかし、スターリンも金正日もそんなに違いはしまい。独裁体制というものはだいたい同じものだろう。かつての東条英機もアメリカ人などからみたら、現在の金正日と同じように見えたのだろう。国々によって政治的な発展段階に数十年の時差があることは、少し歴史を知っている者ならば常識である。だが自由主義・民主主義という歴史の流れはいかなる独裁者も止めることはできまい。それが私の信念でもある。

北朝鮮を支配している金王朝体制は、いつかは必ず崩壊するときが来る。しかし、残酷のようだがそれは北朝鮮国民の問題である。北朝鮮国民の力が崩壊させるのだ。「レジーム・チェンジ」などという英語を使って、ブッシュと同じように武力で金王朝を打倒することが正義だといわんばかりの論者もいるが、それはやってはいけないことなのである。崩壊するものは必ず崩壊する。それもその国の国民の力によって。だから自民党の保守本流の内閣は北朝鮮には手を出さなかったのだ。それを自分の功名のために軽い気持ちで手を出し、それが上手くゆかなかったからといって今度は反北朝鮮政策で点数を稼ごうというのは、わが国の総理大臣としてきわめて卑しいことなのだということに国民は気がつかなければならない。

北朝鮮の人権侵害や窮乏を伝える番組は、情報としては意味あるが全体として反北朝鮮感情を煽ることになっているのではないか。人権侵害や窮乏は、中国にもあるしその他の国にもある。程度は違うが、わが国でも問題にしなければならないこの種の問題は沢山ある。どうしてそちらは放っておいて、北朝鮮の人権侵害や困窮をことさらに熱心に報道するのか。安倍政権のいまや唯一のセールスポイントとなっている反北朝鮮政策の片棒を担ぐことになりかねない報道は注意深くしなければならない。そして忘れてはならないのは、過去も現在も将来も北朝鮮とわが国は隣国だということである。わが民族と朝鮮民族は、ロシアよりもはるかに長く深い関係がある。真の友好関係を築くためには、相手の民族に対する尊敬と畏敬の念がなければならないというのが私の考えである。わが民族と朝鮮民族との関にはそれに値するものが十分すぎるほどある。このことを常に想起して欲しい。

それでは、また。

  • 06年12月21日 12時48分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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