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新テロ特措法案の論戦の意義(その2)

07年10月19日

No.585

<永田町徒然草No.584からつづく>  論戦を行う場合、“敵をして語らしめよ”ということが大切である。特に相手がその本質において邪(よこしま)な場合は、このことを心がけることが有効である。自公“合体”政権の大臣や“正論派言論人”などは、その本質において邪である。以下はある“正論派言論人”の論説である。よく読んで欲しい。

だが私がそれよりも問題だと思うのは、小沢氏が、そもそもアフガン戦争は米国が国連決議を待たずに始めた戦争だから、日本はその軍事行動を援助することはできなかったはずだ、と主張するところである。この主張は日米同盟を根底から揺るがす。アフガン戦争はアメリカにとって自衛戦争なのである。もし同盟国の自衛戦争を助けられないならば、その同盟の意味はどこにあるのか。

なるほど日米安保条約の規定から言えば、日本は「日本国の施政の下にある領域」以外で攻撃を受けた米国を助ける義務はない。しかし、条約上の義務がないから何もしない、では同盟にはならないはずだ。安保条約は日米同盟の骨組みではあるが、体全体ではない。

9・11テロ事件が起こると、日本政府はそのことをよく考えて「米国の側に立つ」ことを明言し、憲法の許す範囲で、アフガン戦争を戦う米国の援助に踏み切った。その日本の援助は米国に感謝され、日米同盟を高次のレベルに引き上げた。もしあの時日本が、それは米国の勝手な戦争だから知らないよ、という態度をとっていたならば、日米同盟はすぐさま「骸骨(がいこつ)」になる道を歩みはじめていただろ。

論者は、坂元一哉大阪大学大学院教授である。2007年10月16日付の『産経新聞』の「正論」からの引用である。まさに“正論派言論人”の“正論”そのものである。「アフガン戦争はアメリカにとって自衛戦争なのである。もし同盟国の自衛戦争を助けられないならば、その同盟の意味はどこにあるのか」というところにテロ特措法の問題が露呈しているではないか!? 坂元氏は徹底した日米同盟論者のようであるが、非常に卑屈である。私は日米安保条約はその実態においてきわめて対等であり、卑屈になったり追従する必要は全くないと考えている。

アメリカの自衛戦争に賛成・理解を示すことはその政治的立場によって自由だが、自衛“戦争”に加担するすることは日本国憲法をどう理解しようが憲法に違反する。だから福田首相も「国際治安支援部隊(ISAF)への自衛隊派遣は憲法上できない」といっているのだろう。ISAFへの参加はできないが、アフガニスタンから遠く離れているインド洋ならアメリカの自衛戦争に加担することができるとすることは憲法解釈としてどう考えても無理である。ISAFの活動もアメリカの自衛戦争の最終段階における加担である(永田町徒然草No.578参照)。

諸外国がISAFに参加することは、それぞれの国の憲法と政治的判断に従って行こなっていることである。その是非は別としてそれぞれの判断によるものであるが、わが国がそうした活動に加担したり支援することは憲法で禁止されている。憲法でそのように定めているのだから仕方ない。軍事的貢献ができないといって、そんなに萎縮する必要はないと思う。

わが国は他国が絶対にできないような国際社会への貢献をしてきたし、そのことに誇りを持てばよい。軍事的役割が現実に有効に機能していないことは、アフガン戦争をみても、イラク戦争をみてもハッキリしているではないか。新テロ特措法案の是非をめぐる議論は、このように日米安保条約や軍事的国際貢献や軍事力そのものに対する国民の理解と考えを深める戦いなのである。冷戦が終り、新しい世紀の国際秩序が形成されつつある。憲法9条をもったわが国が堂々とした政治的スタンスを確立する時代がきたのである。新テロ特措法案をめぐる論戦は、こうした大きな視野に立って行わなければならない。

それでは、また明日。

  • 07年10月19日 06時30分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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