テロについて
07年10月08日
No.574
そして実際に戦争は始まり、アフガニスタンを実効支配していたタリバン政権は打倒された。タリバン政権としては、こんなことは予想だにしていなかったことであろう。軍事的にタリバン政権がアメリカに勝てるはずがない。いやタリバンだけでない。ロシアや中国を除いては、アメリカに軍事的に対抗できる国はほとんどないであろう。
新しい世紀は、アメリカの軍事力が世界を支配するということである。従って、アメリカがどのように軍事力を行使するかということを監視していかねばならない。アメリカがアフガニスタンという国に戦争を仕掛けるだけの十分な証拠は果たしてあったのだろうか。証拠が仮にあったとしても、その開示が十分であったとは到底いえないと私は思う。
そもそも戦争などというものに理由など必要ないのかも知れない。もしそうだとしたら、新しい世紀はアメリカの意に逆らうことのできない世紀ということになる。恐ろしい世紀ということだ。このような非難や不安を与えないためにも、アメリカ政府は米同時多発テロの真相解明に努力し、その結果を世界に公表する必要があるだろう。
これは昨日紹介した『財界展望』の記事のすぐ後に私が書いたものである。アメリカはアルカイダのメンバーやタリバン政権の要人を多数捉え、多くをカリブ海かどこかの収容所に拘束している。もう9・11米同時多発テロはどのように実行されたのか、それにタリバン政権がどのように関与していたのか、証拠に基づいて公表するできると思う。果たしてアメリカはその結果を公表したといえるのだろうか。私はそう思わない。
いつも紹介している『平成海援隊 Discussion BBS政治議論室』に、主宰者のニライカナイさんが「再考 テロリズム」と題して考えさせられる書き込みを今日している。これを引用する。これに対する記者クラブさんのレスも面白い。ゴミ箱につて私もいつも同じように思っている(笑)。多分これからもレスがあると思う。
“そもそも“テロとの戦争”などありうるのか。テロとは、地下組織化した隠れた個人や集団が行うものである。テロ組織との戦いに軍隊ははたして有効なのであろうか。”
上の文章は10月7日付け永田町徒然草の中の白川さんのテロに関する記述の引用です。テロとの戦い・テロとの戦争を政府高官が口にする事が日常となった今、改めてテロとは何かを問うために辞書を引いてみました。
テロリズム 【terrorism】
一定の政治目的を実現するために暗殺・暴行などの手段を行使することを認める主義、およびそれに基づく暴力の行使。テロ。[ 大辞林 提供:三省堂 ]
上の辞書にあるテロリズムの定義に従えば、一定の政治目的を実現するための暴力の発動はすべてテロリズムだと言う事になります。
イラクにおけるイラクの民主化と言う目標は明らかに゛一定の政治目的゛そのものであり、この政治目的を実現する為の暴力の行使はテロリズムと言う事になります。
さて、こうなると少数の集団による一定の政治目的を実現するための暴力の発動をすべてテロと呼び、一定の政治目的を実現するための暴力を国単位で行えばそれをテロとの戦い・テロリストとの戦争と呼んでこれを肯定する事が出来るのだろうかと言う疑問がわいてきます。少なくともテロリズムを国家が行えばそれを戦争と呼び、この行為は国際法で肯定されるとは辞書には書かれておりません。
さて、次にテロリズムを和英辞典で引いてみました。
terrorism
1 テロリズム, テロ行為.
2 恐怖状態;恐怖政治.
[ プログレッシブ英和中辞典 提供:JapanKnowledge ]
terrorismを恐怖政治と訳すならば、アメリカのテロとの戦いは紛れもなくイラクやアフガニスタンの人々にとってterrorismなのではないかと考えられる事になります。
さて、ここまでテロリズムの言葉の意味を考えてきたのは何も言葉遊びをしようと言う訳ではありません。
もしも、イラクやアフガニスタンの人々にとってアメリカの行っている行為がterrorismであるならば、日本の海自の活動もまたアメリカによるテロの一端を担っているのではないかと考えられるのではないかと私は思うのです。
ここには国連決議も何も関係ありません。イラクやアフガニスタンの人々にとってアメリカの行っている行為がterrorismであるならば、それは国連決議がおかしいと言う事になるのでしょう。私はterrorismの意味を知り、イラクやアフガニスタンの現状を知った時にある思いしか脳裏に浮かばなくなりました。
それはいかなる理由があろうとも゛terrorism゛には加担したく無いと言う一言に尽きるものなのです。
せっかくの3連休だというのに、最後の日は全国的にはあまり天気が良くないようである。東京ではいま雨が降っている。秋は思索の季節でもある。テロやパレスチナ問題や軍事的な国際貢献などについて、真剣かつ冷静に考えて、私たちはインド洋における給油活動に正しい答をださなければならない。そんな勉強をしてみたい秋の日である。
それでは、また明日。