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フランス大統領選・考

07年05月06日

No.417

連休最後の日である。今日は全国的にあまり天候には恵まれないようである。しかし、この雨が止むとまた全国的に良い天気が続くようである。新緑萌える五月晴れの季節になる。私はこの季節がいちばん好きだ。連休は、家に篭って一生懸命に仕事をしていたのだから、こんど暇ができたらちょっと旅に出たいと思っている。罰は当たらないだろう(笑)。

連休中は、皆さん外に出かけてインターネットなどあまり観ないのではないかと思った。最近は、だいたいその日にどの位のアクセスがあるかだいたい予想できる。連休で良い天気が続いたのだから、アクセスがかなり落ちても仕方がない。ところが、この連休の間もアクセスはほとんど落ちず、4日間休日がつづき全国的に天気が良かった連休後半、かえってアクセスがこれまでより増加した。これは意外であった。今日は雨のところが多いのでそれより増えるであろう。連休の間も情報を発信している者としては、張り合いがある。

さて、いまフランスでは大統領選挙が行われている。サルコジ氏が勝つか、ロワイヤル女史が勝つか、まさに天下分け目の戦いである。ちょっと前に、それにしても政治先進国フランスで、自由か平等かで選挙が争われていることに違和感を覚えると書いた。フランス革命のスローガンは、“自由・平等・博愛”といわれている。その本家本元で、自由か平等かで国論を2分して争われているのだ。このところに違和感があるといったのだ。

簡単にいえば、確かに理屈としては自由と平等は矛盾する概念である。しかし、近代民主主義先進国では、自由と平等とはともに大切な政治的価値として認められている。理論的には自由と平等は同じ価値観ではないし、論理的には矛盾する概念であり政治的にも異なった結果を招来する。それなのにどうして自由と平等を大切にせよといわれているのだろうか。それはどちらも大切なことだからである。問題の所在はきわめて簡単なのだ。自由と平等との按配加減が大切だということなのである。だが実際にどのような“按配”をするかということになると、現実にはなかなか難しいことなのである。

これを若干難しくいうと、社会的公平を重視する自由社会をどうやって作るかということになる。私はリベラルを“社会的公平を重視する自由主義”と考えている。現代の自由主義は、実際には平等を考えながらどうやって自由闊達な社会を作るかと考えている。現代の自由主義には、平等という概念もインストールされていると私は考えている。自由主義が国家や社会の現実の主導的概念となって300年前後になるが、その300年間の現実が自由主義の内実を変えていった。社会主義思想の台頭とソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の出現は自由主義の内実を根本的に変えた。いや変えていかなければ自由主義そのものがもたなくなったのだ。社会的公平を重視することは、自由主義を永続させるためにも必要なことなのである。

社会的公平を重視せよというのは、自由主義を愛するが故なのである。憲法第25条の「1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という規定などは、その典型である。わが国の憲法はリベラルな国家を目指すことを宣言しているのである。リベラルの政治思想を理解できない者は、本当の自由主義者ではないと私は思っている。安倍首相はその著書の中で「リベラルは危険な思想である」といっているそうだ。まともに議論する気にもなれない(笑)。

テレビなどでみる限りだが、ロワイヤル女史はかなり極端な平等を主張しているようである。社民党党首の福島瑞穂女史よりも強烈なことをいっている。そういえばミッテラン大統領は、社会党だった。ロワイヤル女史も社会党の候補なのであるから、当然といえば当然なのかもしれない。そのような候補がサルコジ氏と互角に戦っているのだから、フランスという国の政治事情が判るともいえるのではないか。わが国は、フランスに比べればまだまだ自由に対する重点が大きいということなのだろう。そして最近の自民党はもっともっと自由の方に重点をおこうとしている。果たしてそれが“良い按配具合”であるかどうかだ。多くの国民はそのように感じていないのではないか。いずれにしてもフランス大統領選挙は興味深い。

それでは、また明日。

  • 07年05月06日 06時04分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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