旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
17年04月30日
No.1904
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
今回体調不良で入院して以来、芭蕉のこの俳句が私の心から離れない。芭蕉は、俳句の極致を求めてその生涯を尽くした。その最中に、病に倒れた。その病中で詠んだ句だという。芭蕉にとって、俳句の極致は旅をする中ではじめてみることができたのではないか。その旅ができなくなって、俳句の極致に近づけないので、悶々として読んだのではないだろうか。
体調は万全ではないが、テレビ等でいろいろなニュース情報は入ってくる。この点は、これまでと少しも変りない。それにしても、この間の世界や日本の動きは、余りにも酷過ぎるのではないか。私だけでなく、多くの人がそう思っている筈だ。ところが、嘗てのようにあまり書けないのが、私のいちばん辛いところである。わが国の論壇は、いったいどうなってしまったのだろうか。
私はこれまで、ひとりの自由主義者として、いろいろと政治的発言をしてきた。時には、己の政治的存立を危うくするのも厭わなかった。そのことに、少しも悔いはない。その中で、最も基本的な眼目は、 「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。(日本国憲法第19条)」であった。いま問われなければならないのは、実は、このことではないのか。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。