日本という国をずいぶん安っぽくした安倍首相の面談
16年11月19日
No.1878
昨日、安倍首相が、トランプ次期アメリカ大統領と面談した。わが国のマスコミでは、大々的に報道された。例によって、安倍首相のこの面談を称賛する報道がほとんどだったが、多くの国民が、本当にそう思っているのだろうか。多くの国民は、外国の首脳との付き合い方を良く知っている。その国とわが国との関係を正しく反映した、礼節あるものでなければならないと考えるのが大勢であった。
どんな国とも礼節を重んじ、失礼があってはならないが、媚び
だから私は永田町徒然草No,1876で、「日本という国にもっと自信をもって、泰然自若として、わが国と国民の本当の利益を考えていく必要がある」と述べたのだ。ところが、安倍首相の今回の面談は、私の考えと真逆である。手土産に金のドライバーを持って、世界で一番最初に外国首脳として会った、1時間半も話すことができたと、喜んでいる。日本という国を安っぽくしたと考えた人も、多いのではないか。私は、その筆頭である。
「トランプ次期アメリカ大統領と信頼関係を築けると確信した」と、安倍首相は述べた。たった1時間半の面談で、トランプ次期アメリカ大統領が信頼できる人物かどうか見定めるとは、実に豪儀なことである。トランプ氏がこれまで述べたことは、アメリカやわが国が大切にしてきた価値観とは、明らかに異なっている。それは、いろいろな分野にわたる。それら一つひとつで、タフなネゴシエーション(交渉)をやってみた結果、初めて言えることではないのか。
安倍首相には、そんなネゴシエーションをする気は毛頭ないのであろう。また、そんなタフなネゴシエーションをする価値観を持っていない。私が想像するに、安倍首相はトランプ氏やその周辺人物が言うことを呑まざるを得ないし、また全部呑もうと考えているのだろう。そうすれば、アメリカとの関係は上手く行く。しかし、それによってわが国と国民の利益が損なわれるのは、間違いない。
今回のアメリカ大統領選は、アメリカという国に大きな問題があることを明らかにしてくれた。同じような問題は、アメリカだけではなく、世界中のあらゆる国にあるのだ。もちろん、わが国にもある。アメリカが変わるように、日本も変わらなければならないのだ。世界は、アメリカだけを中心に回っているのではない。「日米同盟絶対主義の呪縛から離れ、一段高い処から世界を見詰め直さなければならない時が来たのだ」と、私は思っている。トランプショックは、実はちょうどよいチャンスなのだ。
それでは、また。