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“爽やかな秋晴れのような政治”は、果たして来るのだろうか。

16年09月17日

No.1865

先週から今日まで、時間があると私は、加藤紘一氏と過ごした政治生活を振り返ってきた。政治家と政治家の付き合いというものは、そんなに軽いものではない。その政治家のために、時には命を失わなければならないことすらあるのだから。「政治家は昔の武将」と考えれば、この(ことわり)をよく理解できる筈だ。

幸いにも、現在は武器をもって戦う時代ではない。生理的生命を失うことはあまり無くなったが、政治的生命を失ってしまうことは、ごく普通のこととしてある。だから、政治家は武将と心掛けた方が良いと、私は思っている。今回は、加藤氏との思い出を書こうと思っていたが、いろいろあり過ぎて、まだ満足のいくものを書けそうもない。ありきたりの出来事を書き連ねても、それは思い出話か自慢話にしかならない。

加藤氏は、いわゆる“加藤の乱”で、結果として政治生命を絶たれた。私は、平成12年(2000年)7月の総選挙で落選し、加藤氏が決起した時は、衆議院議員ではなかった。加藤の乱は、3ヶ月前の苦しい選挙で当選した自民党衆議院議員にとって、いわゆる“バッチを懸けた闘い”であったのである。

だから、私は外から応援するせざるを得なかった。しかし、加藤氏の側近として、加藤氏が政治生命を懸けた決起に、先兵の一人として全精力を尽くせなかったことは、私の終生の慚愧(ざんき)である。加藤氏が孤軍奮闘していた時、これを院外から応援するため、私は永田町徒然草で私の思いを発信し続けた。それをまとめたのが「時系列でみる加藤騒動の高揚と顛末」である。少し長いが、改めて加藤の乱が何であったのかを振り返える材料にもなると思うので、ご一読頂ければ幸いである。

さて、現在進行しているわが国の政治といえば、ニュース報道番組を見ている限りでは、“豊洲新市場”と“富山市議会の政務活動費”が最大の問題であるようだ。マスコミは、これらの問題を煽るだけ煽っている。しかし、どちらも一地方の問題に過ぎない。北朝鮮の核とミサイルの問題は、どうするのか。沖縄の辺野古基地と高江ヘリパットの問題は、どうするのか。外にも、真剣に論じなければならない問題は山ほどある筈だ。

こんな最中に、野党第一党である民進党の代表選挙が行われていた。私もこの問題に全く触れなかったが、野党第一党がどうなるかは、日本の政治にとって本来は非常に重大な問題なのだ。代表に当選した蓮舫氏は、確か“ワクワク感”が必要とか言っていた。しかし、民進党という存在に、そもそも“ワクワク感”が全くないのだ。何故なのだろうか。民進党の皆さんには、まずそのことから考えて貰いたい。

私は、民進党にワクワクするような政治をやって貰いたいと望んでいる。野党の第一の仕事・役割は、政府のやることの徹底的な批判である。批判ばかりではダメだ、という声がある。しかし、批判に耐え得るものこそ、本当の真実・政策なのだ。徹底した批判精神が必要だと私がいつも強調するのは、そのような理由からである。単なる“ひがみ根性”とは違うのだ。

民進党にぜひやって貰いたいのは、まず、ワクワクするような国会論戦である。そのためには、勉強してもらわなければならない。年金基金の収支決算・福島第一原発事故の被害と、放射能汚染の実態・安倍首相があちこちで行った援助額と思惑等々、政府から明らかにして貰わなければならないことは、山ほどある。それは、非常に大切なことなのだ。

上記と深く関連するが、民進党には本気でマスコミ問題に取り組んでもらいたい。わが国のマスコミは、もう腐り切っている。しかし、マスコミが腐っていたのでは、国民の政治意識も高まらないし、政治の改革も進まない。文化の程度も、落ちるばかりだ。蓮舫代表はマスコミ出身なのだから、その辺のコツは分かっている筈だ。ぜひ、やって貰いたい。

最後に。この連休から来週いっぱい、雨の日が続くようだ。この雨によって夏が終わり、いよいよ秋がくる。果たして“爽やかな秋晴れ”がくるのだろうか。仮に天候不順の秋だとしても、それでも日本の秋は爽やかで美しい。この自然の流れは当てになるが、わが国の政治のモヤモヤは、ますます酷くなるばかりであろう。小池都知事の“東京大改革”とやらも大事だが、いま本当に必要なのは、“日本大改革”なのである。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 16年09月17日 11時49分PM 掲載
  • 分類: 1.徒然

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