国民投票法案について
07年04月11日
No.392
国民投票法案が近々衆議院で可決されそうである。4月10日民主党は民主党原案の修正案を衆議院に提出し、与党修正案には反対するといっている。社民党や共産党が国民投票法案に反対のことはいうまでもない。私が憲法改正に反対の立場に立っていることはいうまでもない。しかし、国民投票法案についてこれまで触れてこなかったのはふたつの理由からである。
まずいつもいっていることだが、自公合体政権はいま衆議院で3分の2をはるかに超える議席をもっている。だから、彼らがある法律案を通そうと思えば、どうしようもないのである。野党がいかに抵抗しても法律案は衆議院を通ってしまうのである。仮に参議院で否決されても、憲法59条2項のいわゆる“3分の2条項”で法律とすることができるのである。国民投票法案をそんな形で通すことはできないとは思うが、いまの自公合体政権ならそれもやりかねない。そういうことなので、教育基本法や防衛省設置法についても個々の条文の是非についてあまり論じなかったのである。
もうひとつの理由は、憲法について実際に国民投票が実施されることはいまのところまずないだろうと考えるからである。またそうなった時は、実はもう戦いは負けているのである。ご存知のとおり憲法改正案は、衆議院と参議院のそれぞれの3分の2の賛成がなければ憲法改正案それ自体を発議できない。私は現在の状況において、憲法改正案が衆議院と参議院のそれぞれで3分の2の賛成を得られることを阻止することは十分可能と考えている。そうだとすれば、実際に憲法改正案に対する国民投票が実施されることはないからである。実際に行われることがないであろう国民投票法案について興味は湧かないのである。
自民党などが意図する憲法改正に反対の立場にある者がいましなければならないことは、彼らの憲法改正案が衆議院と参議院で3分の2の賛成で可決されないように努力することだと私は思っている。そしてそれはそんなに難しいことだとは思っていない。どうやったらこれを阻止できるかは別の機会に述べることにする。今日は民主党が主張している憲法改正以外にも国民投票を実施することができるようにすることの是非についてだけ述べる。私はもし国民投票法ができるのであれば、そのようなことを入れておいた方が良いと思う。
その理由は、郵政民営化法案で明らかであろう。郵政民営化法案の是非を国民に問うというやり方で、自公合体政権は衆議院で現在の“化け物のような議席”を詐取した。そして、こうして詐取した議席で現在なんでもありで好きなことをやっている。やりたい放題である。こういうことは、今後ともあり得る。そうだとしたら、国政の重要案件について国民投票を行える制度を作っておくことは、これを防止する効果はあろう。だから民主党の修正案は評価できる。しかし、郵政解散選挙で味をしめた自公合体政権がこれを呑むことはないであろう。だから、今夏の参議院選挙は大事なのである。
それでは、また明日。