日曜定番の政治番組考
07年04月01日
No.382
今日は、日曜定番の政治番組を観てから永田町徒然草を書こうと思っていた。「観る=look」と書いたが「見る=see」という程度のものばかりだった。ところで私はこれまで“日曜定番の政治番組”にTBSの『時事放談』を入れておかなかった。私は滅多にみないがやはり入れるべきなのであろう。『時事放談』といえばかつては細川隆元や藤原弘達などがやっていた辛口の政治番組だ。“爺(じじ)放談”などと揶揄されていたが、レベルの高い政治評論であった。
『時事放談』をはじめとするこれらの日曜定番の政治番組を全部みたわけではないので、新聞のテレビ欄で何を放映したのか一応みておこう。
●6.00TBS『時事放談』 野中VS藤井 選挙裏
●7.30フジテレビS(スペシャルという意味だろう) 特別来日!外交の巨人キッシンジョ アーの警告「目覚めよ・日本人」“交渉の極意”を伝授▽安藤優子
●8.00TBSテレビ『サンデーモーニング』 従軍慰安婦問題さらに波紋▽靖国合祀の国が関与の新資料▽イラン英兵拘束で緊張▽地震その後▽セ開幕で▽風六本木開発
●9.00NHK『日曜討論』
後半国会の焦点・与野党徹底論戦▽どうする天下り規制▽教育再生
●10.00テレビ朝日『サンデープロジェクト』 運命の決戦まであと1週間…都知事候補者 激論東京をどうする?▽緊急出演…菅大臣に問う…あるある問題と放送の自由
これを全部みれば、6時間だ。中にはこれを全部観る人もいるのではないか。話をしているとメチャクチャ政治ものに詳しい人がいるからだ。この中で今日私が観たのは、『日曜討論』と『サンデープロジェクト』だけだった。『報道2001』と『サンデーモーニング』は時間帯が重なっているが、NHKに対する遠慮からであろうか、『日曜討論』と『サンデープロジェクト』は他の政治番組と重なっていない。その代わり、内容がくだらない場合にはみないことになる。
『日曜討論』の天下り規制には、興味があったのでシッカリと観た。安倍首相が参議院選挙の目玉にしようとしている“新人材バンク”構想は、やはり私が懸念していたとおりマガイ物だということが明らかになった。小泉前首相からはじまった詐術を平気で用いる手法を、安倍氏はそっくり踏襲している。それにしても自民党の中川昭一政調会長の発言内容と態度はいったい何だといいたくなる。彼の頭は、アルコールで相当やられているのではないかと思った。中川氏の手法は、詐欺の方ではなく恐喝の部類だ。それに対して隣に座っている公明党の何とかいう政調会長の発言はいったい何なのだ。これは、こういう番組のすべてでいえることだ。
“新人材バンク”構想は、別に機会に述べることとして、今日のような“与野党徹底論戦”なるものの問題点をこの際あえて指摘しておこう。かつては、国会で具体的に問題になっている政治テーマについて討論する場合、政府側からは担当大臣が出演することが多かった。ある法案を国会に提出したり国政の場で現実に執行する担当大臣である。今回の新人材バンクならば、渡辺喜美行革担当大臣である。もちろん大臣は1人しかいないので、この大臣に対して4~5党のその道の専門家が迫るのである。だから面白かったし、大臣の発言は、国会答弁と同じくらいの重みもあった。大臣に与党である自民党の担当者が一緒に出席することなどなかった。
いろいろな問題があって与党内部で議論したとしてもそれはそれであり、大切なのは結論である。その結論が国民を規制することになるからである。野党から出される疑問や批判に答えるのが、大臣の責任であった。それをみて国民は問題の法案や対策案の是非を判断したのである。与党の政策責任者発言といってもそれはまだ政府の結論ではない。自民党の責任者の隣に座っている公明党の責任者は与党の一員ではあるが、政府の結論を云々できる立場にない。そしてこの種の番組を観ていると、公明党の責任者の役割というものがハッキリする。結論だけいうと、論点をぼやかす役割しか果たしていない。自公合体政権は、テレビでも二枚舌を使っているのだ。二枚舌は、詐欺師のもっとも典型的手法である。
もうひとつだけ全番組についての感想だが、昨日も書いたように世はまさに選挙一色である。統一地方選挙をやっている時だからこそ、やらなければならないテーマがあるし、やってはならない番組もある。やらなければならないテーマとは、小泉改革の中で行われてきた地方自治体に対する各種の「改革」であろう。その改革の中味を議論することこそ、いまもっとも大切なテーマなのであろう。これは選挙戦にもろに影響するかもしれないが、それをやることがマスコミの使命ではないのか。それともそういう微妙な問題を扱う能力がなくなってしまったというのか。どうもそんな気がする。もし本当にそうだとすると、わが国のマスコミは、本当に危機的状況にあるということになる。こんなことを考えながら日曜定番の政治番組をみていると、日曜日はいつもストレスを覚える日となるのである。
それでは、また明日。