いずれでも大問題
07年02月14日
No.336
昨2月13日の衆議院予算委員会で、安倍首相は亀井静香衆議院議員(国民新党)の「昨年10月末ころ創価学会池田名誉会長に会ったのか」という質問に対して、「会っていない」と答弁した。この答弁はこれから大きな問題となるのではないかと私は思っている。柳澤大臣の「女性は子を産む機械」発言とは、ちょっと質が違うのである。
昨年の10月末ころ、小泉首相と安倍新首相が創価学会の池田大作名誉会長のところに挨拶に行ったといくつかの新聞や週刊誌が記事にした。現職の総理大臣がある宗教団体の実質的な主宰者に会うことは、政教分離の観点から問題がある。靖国神社参拝と同じようにある宗教団体に特典的なものを与えることになる疑いが生じるからである。政教分離の原則とは、国家権力と特定の宗教団体の癒着を禁ずることをいう。それだけに総理大臣は特定の宗教団体との付き合いには、細心の注意をしなければならない。
総理大臣が特定の宗教団体の実質的な主宰者に会うということは、政教分離という憲法の大原則に照らして問題があり、マスコミがこれを報道することは当然であるし、マスコミの使命でもある。マスコミが安倍首相は池田大作創価学会名誉会長と会ったと報道しているが、そのような事実はあったのかなかったのか、と亀井代議士が質したことは意味がある。この質問に対して安倍首相は、そのような事実はない、すなわち会ったことはないとないと答弁したのである。
ということは、マスコミは虚偽の事実を報道したことになる。さあ、マスコミはどう出るのか。マスコミに健全な批判精神が残っていれば、どのような事実を掴んでそのように報道したのか、責任をもって答えなければならなくなる。そのことをしなければ、いくつかの大新聞が憶測で事実でないことを報道したことを認めることになってしまう。マスコミの権威は大きく喪失される。最近のテレビや新聞にマスコミの矜持などほとんど感じられなくなったが、きわめて単純なことなのであるから事の真偽をこの際ハッキリとしてもらいたいものだ。マスコミが安倍首相と池田大作創価学会名誉会長が会ったことを立証すれば、安倍首相は国会で嘘の答弁をしたことになる。
柳澤発言は、本人がいうようにきわめて不適切な発言であり、政治家の品性や資格が問われても仕方ない問題である。安倍首相が実際には池田名誉会長と会っているのに「会ったことはない」と答弁したとしたら、これは嘘の答弁をしたことになり、「嘘つき」ということになる。総理大臣が嘘の答弁をしたとなれば、これはタダでは済まなくなる。昨日の安倍首相の答弁は「会ったことはない」と単純に答えていたが、それで済むと考えているとしたら能天気である。それともマスコミなどもう押さえ込んでいるので、マスコミが騒ぐようなことはないだろうと踏んでいるのか。そうだとしたら、わが国のマスコミはもう信じるに足りないものといわざるを得なくなる。さてさてどのように展開するのか。いずれにしても大変な問題である。
それでは、また明日。