真央ちゃんと麻生首相
08年12月14日
No.1020
ニュース報道番組をみるのは、私の“仕事”である。その時間帯はもちろん知っている。新しいテレビを買ってBS・地デジが見られるようになった。最初はBS放送のニュース報道番組の時間帯が判らなかったが、最近ではそれにも慣れてきた。ニュース報道番組以外にわざわざ観るのは、“鬼渡”と『篤姫』くらいのものである。あとはだいたい出たとこ勝負である。
しかし、昨日は違った。午後8時から放映されるフィギュアスケート“世界グランプリ・ファイナル”の女子自由演技を楽しみにしていた。浅田真央が勝つかそれとも韓国のキム・ヨナか、という大勝負であった。日本と韓国の世界的スケーターが韓国の地で激突する。前日の規定ではキム・ヨナが1位、浅田真央が2位。その差はごく僅かだ。舞台設定は整った。
まず浅田真央が舞った。NHK杯の時にも感じたことだが、浅田はこの1年でずいぶん大人らしくなった。妖艶とはまだ言えないが、女性らしい美しさも備わってきた。フィギュアスケートの“アクセル”とか“サルコウ”という技は、よく分からない。“イナバウアー”はトリノ・オリンピックの荒川静香で有名になった。なんでもその演技をやった選手の名前に由来しているのだそうだ。
浅田真央は途中1回転倒したが、あとはだいたい完璧だった。最後にキム・ヨナの登場である。最高潮に達した。キム・ヨナも大人らしくなったが、浅田真央よりまだ幼そうに見えた。キム・ヨナの演技は、素人である私にも浅田を超えているとは思えなかった。しかし、浅田は1回転倒している。それが心配だった。ところがキム・ヨナも転倒してしまった。その瞬間、私は浅田が勝ったと思った。ジャッジの判定も同じであった。浅田真央の優勝である。私が懸念したブーイングも混乱も起きなかった。日韓の関係も大人になったのだ。
ところで、昨日福岡県の大宰府に日中韓の3首脳が集まって会談が行われた。麻生首相はこの会合を“第1回日中韓サミット”と名付けた。これまでも国際会議などで3カ国の首脳が会談したことはあった。しかし、独立してわざわざ3カ国の首脳が集まって会談したことは初めてであった。3カ国の歴史と関係を知っている者にとって画期的なことはよく分かる。どういう経過でこの会談がセットされたのか私はよく知らないが、その真ん中に麻生首相が立っていたのはその価値を半減した。
麻生首相はこういう会談を主催するのにもっとも不適切な人間だからである。麻生氏は基本的に“反中”であり、“蔑韓”である。そのような人間が真に友好的な日中韓関係を築ける筈がない。田母神前航空幕僚長の処分をあの程度で済ませたことを見ただけでもこのことは十分に頷けるであろう。麻生首相の歴史認識は、私たちと明らかに異なるのである。だから歴史的に非常に意味のある会談で話し合われたのは、金融問題と拉致問題だけに終わってしまったのである。なんとも“もったいない”。
それでは、また。