アメリカ依存症と“対米従属”の輩
07年12月16日
No.645
今日は久々に日曜定番の政治番組を観た。大原則の変更により、特にどうしてもこれについて書かなければならない訳ではないので、自然な気持ちで観た。今日は『報道2001』(フジテレビ)、『日曜討論』(NHK) 、『サンデープロジェクト』(テレビ朝日)に与野党の幹事長が出演していた。それぞれが自党の立場を一生懸命に主張していた。まぁ、悪かったとはいわないが、どうしても観なければならないという程のモノではなかった(笑)。しかし、ひとつだけ“これは!”というものがあった……。
それは『サンデーモーニング』(TBS)の冒頭に放映される政治コーナーであった。この部分は『報道2001』と重なるので、私もつい見逃してしまうのだがなかなか良い番組である。そこで、寺島実郎氏が「インド洋における給油活動など多くのアメリカ人が知っていませんよ。日米同盟とか国際貢献などを大きな声でいっているのは、日米安保条約で“飯”を食っている人たちだけである」という発言だった。私には寺島氏の発言の趣旨がよく理解できる。わが国の防衛族・日米同盟論者もだいたい似たような者だからである。
わが国のいろいろな分野にアメリカ依存症が強くあることを私は否定するものではない。戦後アメリカに占領されたこと、冷戦が長く続いたこと、アメリカの繁栄=アメリカの圧倒的な力などを考えれば、アメリカ依存症がわが国にいまなお強く残っていることも私は理解できる。しかし、だからといっていつまでもそれで良いというものではない。いつの時代でもどこの国でも、いちばん大切なのは独立自尊の精神である。独立自尊は、何も明治時代のスローガンではなく、自由主義の基本的精神なのである。
私が日米同盟論者やアメリカ従属の防衛族を好きにならないのは、悪意のないアメリカ依存症が国民の中に残っている現実に“依存”し、自らの政治立場を守るためにこれを利用しているからである。わが国の右翼反動もそうである。アメリカの自由主義や民主主義の良い部分には強い嫌悪感をもっているにもかかわらず、国民の悪意なきアメリカ依存症に“依存”して、アメリカ従属を平気で正当化しているからである。これらの輩には、真の独立自尊の精神などない。善良な国民は、こうした輩の嫌らしさを見抜かなければならない。こうした輩の卑劣な言動に騙されてはならない。
なによりも大切なことは、独立自尊の精神を私たちの中に育てることである。それは決して容易いことではない。人から批判や非難を受けることも覚悟しなければならない。しかし、己に対して批判や非難を加える者が己のことを正しく理解し、己のことを親身に考えてくれるからではなく、彼らのために批判や非難を行うことに思いを馳せれば、たいして気にすることはないのである。私などは、自民党の中でいつも少数意見を主張してきた。公明党の政権参加批判などは、現在では殊更に少数意見にされている。
だが私は自らの生き方をやめようとは思わない。それは私の考えが間違っていないという確信があるからである。そのためにはいつも自分自身で考えることを習慣としなけれならない。自分自身が体験を通じて知ったことは、本で読んだり他人から聞いたことよりはるかに信じるに足ることなのだと確信することである。多くの人々が言っていること、多くの人々が信じているからといって、それが正しいという証拠にはならないことに自信をもつことである。現在のようにマスコミが偏向している中で、それは決して容易いことではないが……。
私は永田町徒然草を自分の頭で考え、自分の言葉で書いている。自分の体験に基づいて自信をもっていえることを書いている。大切なことは、少数意見になることを懼れないことである。現在少数意見であっても、将来とも少数意見である訳ではない。別に将来とも少数意見であってもいいではないか。少数意見が間違っているとは限らない。少数意見をもつもの同士が共有できる友情こそ、真の友情である。私はそういう友情を沢山もつ人間になりたい。寺島実郎氏の論説は、いつも傾聴している。このようなコメンテーターがマスコミから排除されているのが現実である。
それでは、また。