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フランス大統領選・考(その2)

07年05月08日

No.419

昨日、実は午前3時ちょっと前に念のためにテレビのスイッチを入れたら、午前3時01分にNHKニュース速報で「仏大統領選でサルコジ氏当確を現地メディアが報道」と出た。臨時ニュースでも流すのかと思っていたが、「富士山の夏」とか「富士山の秋」とかという映像番組をやっていたので、そのまま眠った。皆さまのNHKくらいは、「富士山の秋」などというのはやめてフランス大統領選について特別に報じてもいいと思うのだが、どうだろうか。

昨日は、一日中忙しかった。だからわが国の報道番組がサルコジ氏の当選をどのように報じたのか、残念ながらこれを観ることができなかった。わが国の政治を考える場合、実はそうしたことも大切な事実(fact)なのだ。いくつかのことを確認しておこう。冒頭に述べたように選挙の報道は、わが国と同じようである。世論調査技術も進んでいるのだろうし、認知もされているのだろう。若者がバスチューユ広場などで騒いだそうだが、ひょっとしたらこのことに怒ったのかもしれない(笑)。次に投票率は、84%だった(正確には83.97%であるが、以下記憶しやすいように小数点以下は四捨五入する)。フランス国民の政治的意欲が高いことに驚かされる。

ニコラ・サルコジ氏(52歳)の得票率は、53%。これに対してセゴレーヌ・ロワイヤル氏(53歳)は、47%を得票した。あと3%ちょっとの人がロワイヤル氏に投票すれば、社会党の大統領が誕生していたということになる。フランスという国の政治情勢がこれで判るのではないか。サルコジ氏は、父がハンガリー人・母がギリシャ人の移民だという。いうならば移民二世である。アメリカのオバマ上院議員はケニア人移民の父とアメリカ人との間に生まれた子である。わが国の北朝鮮政策などは、韓国・朝鮮民族に対する蔑視や偏見に基づく差別意識がその根底にあると私は思っているが、これとは大違いであることもこの際しっかりと認識しておくことも大切であろう。

サルコジ氏が主張したことは、経済政策では「もっと働き、もっと稼ごう」をスローガンに、「週35時間労働」の見直しや解雇条件の緩和など、雇用の流動化や企業の裁量を拡大する方針や硬直した社会保障制度の改革だった。フランスでは週35時間労働なのだ。週休2日制が完全に実施されているから、1日7時間労働なのだ。サービス残業など当たり前、職があるだけでも有難く思えというわが国の風潮とは大きく異なる。パート労働者などは働きたくても働かせてもらえないのだ。外交政策では、サルコジ氏は「フランスは米国の友人であり続ける」とイラク戦争で反米姿勢を貫いたシラク大統領とは一線を画したが、「友が違う考えを持つのを認めるのも友好だ」とも語った。フランスや欧州の価値を捨ててまで対米追随に走るとは考えにくい。いまやアメリカのもうひとつの州などと揶揄されているわが国の外交姿勢と同視することはできないのである。

リベラル勢力が平等という価値観を強く打ち出しすぎると自由主義社会では反発が強くなり、自由競争を重視しようというバネが働く。しかし、これはアメリカなどの傾向である。ヨーロッパでは、社会民主主義勢力VSリベラル勢力と考えた方がいいのだろう。フランスなどでは、リベラルというより社会民主主義勢力が強いのだ。これに対してリベラル勢力が自由主義(市場主義=競争原理)の復権を主張しているに過ぎないのだ。ネオコンやわが国の右翼反動は、自由主義者であるかどうかが怪しいのだ。新自由主義を唱えたレーガン大統領やサッチャー首相は、紛れもない自由主義者だった。このカウンターパートといわれた中曽根大勲位は、果たして本当に自由主義者なのか。一度検証してみる必要がある。小泉前首相や安倍首相となるとその必要もないようだ。今回のサルコジ大統領の誕生で、このような輩が変に元気付くことを私たちはいちばん警戒しなければならない

それでは、また明日。

  • 07年05月08日 03時05分AM 掲載
  • 分類: 3.国際政治・外交

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