経済は文化的活動でもある。
08年12月18日
No.1024
今日はいろんなニュースがあり過ぎて、何を書かけばよいのか迷っている。しかし、やはり金融危機の問題を取り上げることにする。株取引や為替取引は毎日のように上がったり下がったりしている。100年に1度あるかどうかの危機の筈なのに、なぜこうも乱高下するのだろうか。やはり誰かが仕掛け、投機的な取引が行われているのではないか。経済や株の専門家から確かのところを聞きたいものである。
株取引や為替取引の動きは乱高下しているが、実体経済の悪化を実感させる諸現象は確実に進んでいる。今朝のニューヨーク為替市場では、1ドル=87.20円であった。この為替レートは実に久しぶりのことである。かつてこの為替レートの時に海外に出張したことが何度かある。非常に物価が安く感じられるものだ。本来ならばこういうときの年末年始は、多くの人々が海外旅行に出かけるものだがわが国にそういう雰囲気はない。
わが国の経済で最大の問題は、人員削減である。失業問題である。特にわが国の経済を牽引してきた自動車や電子工業の動きが際立っている。円高になれば輸出が思うようにできなくなるというのがその理由である。それは理解できるのだが、経済の専門家から何か知恵が出てこないのだろうか。現在のような世界の経済状況の中でわが国の工業技術やIT技術の出番はないのだろうか。世界一と自負してきた省エネルギー技術は、原油が値下がりしたとたん出る幕がないというのだろうか。地球温暖化・CO2問題は経済危機くらいですっ飛んでしまう問題なのだろうか。事は地球が死滅するかどうかの筈である。
経済というのはどうも工業技術だけではないようである。アメリカが得意な金融産業も経済の技術であり、エンターテイメンも大事な産業である。エンターテイメントは最大にして最高の“ソフト産業”なのである。“ハードからソフトへ”は、この20年間いわれ続けてきたことだ。しかし、すべてのワイドショーで定番となっている“エンタメ情報”番組を見ていると、わが国のエンターテイメントの現状がよく分かる。マスコミが報じる“エンテメ情報”は、芸能人の芸能人による芸能人のための番組である。文化性や思想性の高いエンターテイメントの情報など少しも得られない。このような番組を性懲りもなく垂れ流すマスコミの文化性や思想性を象徴しているではないか。
経済活動はすぐれて文化的活動だ、と私は思っている。商品は物質だが、これを作り、これを販売するのも、買うのも、使うのも人間である。だから人間に対する正しい認識と考察がなければ、本当の経済の分析や経済対策はできないと私は思うのであるが…。政治の対象はいつも人間である。長い間その政治を見詰めてきた者として、経済の専門家と称する識者に私は不信感を抱かずにいられないのである。
それでは、また。