大相撲徒然
09年01月25日
No.1063
朝青龍が2009年初場所で優勝した。「朝青龍、帰ってきました!」という言葉は、本当に嬉しかったのだろう。優勝を決めた横綱の顔は、本当に“良い顔”だった。優勝インタビューの最後に「このテレビを見ているモンゴルの皆さんにちょっといっても良いですか」といってモンゴル語で話した。最後に「日本の横綱ですから…」という言葉が印象的だった。
この間、朝青龍にはいろいろなことがあった。1年前の初場所では、白鵬と相星で対戦した。その時の相撲は本当に凄かった。次の大阪場所では優勝したが、今場所の朝青龍は別の苦境にあった。私に言わせれば、皆んなちょっと言い過ぎだったのではないか。NHKの相撲解説をしている北の富士勝昭氏などは、稽古総見を見た後「初場所に出場しても駄目でしょう」とハッキリいっていた。いつもは明快な切り口で解説する北の富士氏は、なんどもバツの悪そうな言い訳をしていた。
相撲は勝負なのである。力士は勝負師なのだ。勝負師は勝負で語らなければならない。私がプロゴルファーの石川遼を好きになれないのは、高校生のくせに口で勝負しようとするからである。いろいろなことを言わなくても、勝負をしている姿は美しい。今場所の朝青龍の勝ち方は、決してそんなに美しくはなかった。ダメ押しと受けとられかねない場面も何度かあった。今回はそれに対して誰も何もいわなかった。必死で勝とうとしている横綱には仕方なかったのだと思う。最後で気を抜いて負けてしまった勝負が今場所も何番かあった。
これで朝青龍は優勝回数を23回とした。遂に横綱貴乃花を抜いて歴代4位となった。もちろん第一位は大鵬である。32回だ。千代の富士が31回、北の湖が27回である。北の湖の27回を越えることが朝青龍の次の目標だ。そうしたとき朝青龍はモンゴル出身の横綱としてではなく、本物の“大横綱”として歴史に残るであろう。今回の優勝は、その一里塚に過ぎないのだ。朝青龍の今後の精進を期待したい。それにしても総理大臣杯を授与するために麻生首相が登場したのは興醒であった。
それでは、また。