朝青龍問題とは?(その2)
07年09月05日
No.540
<永田町徒然草No.539からつづく>私の意見は、一般の論調に比べれば朝青龍に甘いのであろう。しかし、私はどちらかというと朝青龍はあまり好きな力士ではない。だが、ここは冷静に考える必要があるのだろう。多くの識者は、北の湖日本相撲協会のこの問題に対する対処方針がけしからんといっている。私は北の湖のファンであった。だから北の湖理事長の協会運営も贔屓にしている方だ。そのような私の立場からしても、今回の朝青龍に対する措置はどうも納得できないのである。
“横綱より問題” 横審委員長の品格
――朝青龍を責められるのか
横綱朝青龍への「引退勧告論」も飛び出した8月31日の横綱審議委員会(横審)の緊急委員会。その様子を伝えるTVニュースに、多くの視聴者は違和感を覚えたのではないか。ギョロ目にスキンヘッドの傲慢不遜な人物――。NHKの海老沢勝二前会長(73)が横新委員長として、会長席にドッカち座っていたからだ。
紅白プロヂューサーの制作費横領事件など不祥事続発にもかかわらず、地位に恋々とし日本中から厳しいい批判を浴びて。海老沢氏が会長の座を追われたのは05年1月のこと。ところが、会長在職中から務めていた横審の委員には居座り、今年1月に委員の互選により、第11代委員長の座に納まっていたのだ。
「なぜあのような人物が横審の委員長としてエラソーにふんぞり返っているのか。我が目を疑いました」と、相撲ファンの脚本家・石堂淑明氏がこう続ける。
「横審は人格・品位が問われる横綱を選ぶ唯一の諮問機関。そのトップには、横綱いじょうの品格が求められます。しかも、朝青龍問題では、角界全体の危機管理能力が問われている。なのに、なぜ横審のトップが海老沢氏なのか。彼はNHK不祥事で危機管理能力ゼロの烙印を押され、会長を追われた後も顧問に納まろうとし、石もて追われた人物です。良識があれば、人前に顔をさらせる立場ではないことに気付くはず。恥も外聞もないのでは、朝青龍と同じです。今の角界は滑稽を通り越して悲惨でもさえあります」
海老沢氏はNHKの会長時代に、年間30億円の放映権料を支払ってきた相撲協会最大のタニマチだった。まさか、その功績で名誉職を手にしたのではないだろうか……。
これは9月4日付の『日刊ゲンダイ』の5面記事の全文の引用である。私はこの記事の趣旨に基本的に賛同する。これだけ朝青龍問題が報道されているのに、横綱審議会の海老沢委員長について触れたのは私が目にした報道ではこの記事だけだった。要するにわが国の報道は万事が偏っているということである。相撲は俗にいわれているように本当に“国技”なのだろうか。国歌国旗のように相撲を国技と定める法的根拠はない。しかし、相撲ではなくこれが国技だと主張しているスポーツや武道がある訳ではないので、相撲を国技としたところであまり問題はないような気がする。
私は大相撲が好きなのでNHKが放映権料として年間30億円支払ったとしても国民が理解してくれると思っている。NHKが放映権料を支払い、大相撲を放映しなければ大相撲は非常にピンチになるであろう。存続そのものが危機に晒せれるかもしれない。それは私たちのNHKとしてやっていることなのである。海老沢氏の個人的な采配ではない。そのことに便乗して海老沢氏が横綱審議委員に居座ることもおかしいし、互選とはいえ横綱審議委員会の委員長に就任するなど明らかにおかしい思う。海老沢氏の良識に期待すべき問題であるが、最後はNHKの経営委員会の責任でもある。最後は、総務省も意見を述べることができる筈だし、国会の総務委員会の問題でもある。
話は広がってしまったが、日本相撲協会が「相撲は国技だ」といいたいのであれば、以上述べたことにすべて答を出さなければならない。北の湖は根性のある立派な横綱だった。北の湖理事長ならば、こうした困難な問題にキチンとした対処ができる筈だと私は期待している。朝青龍も意地でもあと数回は優勝をして汚名を返上しなければならないであろう。そうでなければジンギスカーンの末裔としての名誉が泣くぞ(笑)。
それでは、また明日。