今年最後の永田町徒然草
15年12月30日
No.1803
今年も、あと一日となった。今年は戦後70年ということもあって、先の戦争や戦後について、多くの人たちが想いを新たにした。その想いを逆なでして、安保関連法案の審議があった。私も、何回となく国会正門前の抗議行動に参加し、また、新宿歩行者天国のデモにも参加した。安保関連法案の内容は言わずもがなだが、最後のあの審議打ち切りは、なかった。民主主義・民主政治において最も大切にされなければならないのは、手続きであり、取り運びである。
永田町徒然草も、たぶん、安保関連法案に関する記述が一番多かったのではないか。安保関連法案の結末があのようだったので、いよいよ、来年の参議院選挙に舞台を移すことになる。この推移を、私は正しいことと考えている。議会制民主主義は、自らの政治的意思に基づき、自分たちに代わって、議会において行動してくれる議員が存在することにより、はじめて、多くの国民に是認される。
国政には、多くの課題がある。それは、ジグソーパズルのように複雑に絡み合っている。ときには、想定していなかった課題が起こりもする。国会議員と有権者との関係には、「“委任”か“代表”か」という専門的な議論がある。少なくとも、ひとつの問題に対する委任ではないのだけは、確かである。そうすると、何を基準にして議員を選出するかという、困難な問題が生ずる。
公約がいちばん重要な判断基準となるのは疑いないが、最近の政治においても、公約というモノがあまり当てにならないという実情がある。そうすると、選挙の際のいちばん確かな判断材料となるのは、候補者の所属政党や基本的価値観ということになる。こうなるとまた厄介な問題になってくるのだが、「端的にいうと、憲法に対する基本的考え如何」となるのではないか。
なぜならば、憲法は、国政の諸問題について、具体的な判断基準を述べているからである。“憲法尊重か、憲法改正か”は、やはり大きな判断基準にならざるを得ない。参議院選挙・選挙区選挙の一人区における候補者調整もまた、大きな問題となっている。今度は、この一人区が32(県)もあるのだ。この一人区すべてで野党統一候補が擁立できれば、参議院選挙の予測は、野党に圧倒的に有利となる。野党の正念場は、ここにある。
臨時国会を召集しなかった関係で、正月明けの4日から、通常国会が始まる。平成6年の、細川内閣以来のことである。当時細川内閣は押せ押せの状態であったが、その年の4月8日に退陣した。歴史は繰り返すという。安倍首相も、ハイテンションである。野党は心して、質の高い国会質問をもって安倍内閣に相対することが重要である。そこに、道が開ける可能性がある。
昨夜は、白川勝彦法律事務所の忘年会であった。スタッフ全員が頑張ってくれたお陰で、白川勝彦法律事務所も、何とか乗り切ることができた。娑婆全体は、極めて不景気である。その中で、どの事業所も、経営を守ることは容易ではないのだ。景気が良い、儲かっているなどと言っているのは、マスコミと大企業だけである。円安になった関係で、ドルベースの一人当たり国民所得は大幅に低下した。その代わりが、大企業が持っている数百兆円の内部留保である。何故、これが問題にならないのだろうか。
債務整理という仕事の関係で、白川勝彦法律事務所は、今日30日まで仕事であった。午後5時過ぎにすべての仕事を終えて、皆で年越しそばを食べ、早めに帰宅した。来年は、4日から仕事である。久しぶりの、“引き締まった正月”である。私も、4日間じっくりと、“正月休み”を取るつもりである。遠出の予定はない。これが、今年最後の永田町徒然草となる。一年間のご愛読を感謝し、来年もよろしくお願いする次第である。
それでは、また。