年度の始まりにあたり
07年04月02日
No.383
昨4月1日が日曜日であったために、全国的に今日が年度始まりという会社や団体が多いであろう。元旦も大きな節目だが、会社や団体などでは年度始まりというのもけっこう大きな節目ではないだろうか。そんな中、とりあえず仕事に関係ない私のサイトにアクセスして下さったことに心から感謝する次第である。長い間国会議員をしていて、政治家がどのくらい年度替りを意識しているかというと、それは予算の成立と日切れ法案の処理くらいのものである。それ以外、政治家は年度というものを意識して行動していない。
会社や学校などでは、年度というのは大事なのだろう。会社などでは、年度毎の決算がものをいう。学校関係は昔から4月1日から新しい年度が始まる。学生にとっても教師にとっても、4月1日は特別の意味をもっている。安倍首相の教育再生会議には、9月1日から教育関係の年度を始めようなどという意見もあるようだが、外国からの留学生の受け入れや外国の大学などに留学する者のためだけというのならば、ちょっと安直ではないだろうか。4月1日から新しい年度が始まるというのは、わが国のひとつの文化なのだ。
政治家が年度を意識する数少ないもののひとつが予算の成立である。予算の年度内成立というのは、歴代の内閣にとってかなり大きな課題であった。予算の年度内成立のために首を飛ばされた大臣も数多くいた。予算が年度内に成立しないと支出しなければならないお金が払えないということになり大変だといわれている。しかし、公務員の給料や政府が支払わなければならない年金などは、与野党間に争いがある訳ではなく、暫定予算を組めば実際にはほとんど支障はないのだ。しかし、予算を年度内に成立できないようでは、政権基盤が安定していないと看做される風潮が強かったし、またそういわれても仕方ないだろう。だから予算の年度内成立に、歴代内閣はこだわったのである。
日切れ法案というのは、この処理をちゃんとしておかないと実務上支障が出てくる。行政は法律に基づいて行われるので、○○年3月31日までと書かれていればその通りに行わなければならない。租税特別措置法などには、日時を限って特別に定められるものが多い。私は当選後10年間大蔵委員会に席をおいたので、この日切れ法案を審議するために夜遅くまで委員会に出席しなければならなかった。そんなことはいいのだが、大蔵大臣というのは本当に大変なんだなぁと思わずにはいられなかった。3月中下旬といえば、予算案の審議をやっている。予算委員会には大蔵大臣は必ず出席をしなければならない。だから日切れ法案の審議を行う大蔵委員会は、その日の予算委員会が終った後に開かれるからである。
まあ、政治家というのはだいたい区切りというのがない世界に生きている。政治家にとって区切りとなるのは、やはり選挙である。政治家の区切りは、選挙から選挙までである。選挙は、政治家にとって最大の決算である。政治家には年度毎の決算も中間決算もない。結果が出たときがすべてである。気楽といえば気楽な稼業だが、厳しいといえば厳しい稼業だ。落選は、企業の赤字決算とは訳が違う。倒産なのである。落城なのである。私は3回つづけてこの落城を経験した。命がけで戦う者ほど、落城で受けるダメージは大きい。いま全国で多くの政治家が選挙を戦っているが、健闘を祈らずにはいられない。しかし、経済の世界とは違い、全社が好決算を出す訳にはいかないというところが辛い。誰かは必ず落選しなければならないのだ。衆議院議員を除き、次のチャンスは普通4年後しか来ない。
この永田町徒然草を毎日更新するようになって、4ヶ月が経った。ちょっと区切りが悪いところだ。これまでの更新はリハビリと考えて、今日から実際には毎日更新する年度が始まると考えている。来年の3月31日まで毎日更新するとなると、意外に大変なような気がする。でもこの4ヶ月の助走期間を考えれば、できるような気もする。私はいま永田町徒然草で毎日何かを訴えることが私の仕事と考えている。年度替わりにあたり、このことを改めて確認しているところである。皆さまの新しい年度のご健勝をお祈りするとともに、白川サイトを通じてのご厚誼をお願いする次第である。
それでは、また明日。