候補討論番組を観て
07年03月16日
No.366
昨晩、古舘伊知郎の『報道ステーション』と筑紫哲也の『ニュース23』で都知事選の主だった4人の候補者予定者による討論番組があった。ちょっと遅きに失する嫌いはあるが、まあ良かったのではないかと思う。これまで石原氏と浅野氏だけを突出させたことについて、その問題点を触れてきたが昨晩の番組を観ていた人は私がなぜ問題点を指摘したのか判ってもらえたと思う。報道の中立性とは、要するに報道の側で変な編集をするなということなのだ。だが、昨晩のような番組でも考えなければならない問題はあるのである。
テレビや新聞などが東京都知事選の立候補予定者として報道しているのは浅野史郎・石原慎太郎・黒川紀章・吉田万三の4氏(50音順)だが、私も知らないがきっとこの外にも立候補を予定している人がいるのだと思う。それがいないのなら問題はないのだが、そうでないとしたらそういう人をなぜこの番組に出演させなかったのか、報道側は視聴者にちゃんと説明しなければならないだろう。その理由にハッキリしたものがなければ、報道がそうした候補予定者を事実上足切りしたことになる。ちゃんとした理由がないのに、この4人だけが主だった(言葉をかえれば有力な)候補予定者とすることは不公平であり、はなはだ僭越でもある。
私は6年前の参議院選挙で、このつらさを痛いほど思い知らされた。私は名簿届出政党(比例区に候補者を擁立できる政党)になりさえすれば、こういうテレビ番組などには当然出してもらえるものと考え、選挙期間中にそうした番組に出れるようにスケジュールを空けておいた。しかし、1度も声すらかからなかった。NHKの政見放送や選挙公報では他の政党と同じように扱ってもらえるのだが、こうした報道番組では足きりされてしまうのである。私たちの「新党・自由と希望」がこうした番組に出してもらえなかったのは、政党助成法に定める政党要件がある政党しか出演させないという基準でそれぞれの局がやったからだった。それは法律に基づくものではなく自主的な基準である。
もうひとつの問題は、やはり政党との関係である。上記ふたつの番組がこの4氏を有力な候補予定者としたのは、やはり政党の支持があるということが大きな理由となっていると思う。石原氏には自民党と公明党が事実上バックで応援している。浅野氏には民主党と社民党が支援している。浅野氏も両党に支援の要請に行っている(ホームページでみる限り、国民新党がどうするのかは判らない)。吉田氏は共産党の推薦を受けている。黒川氏はどの政党の推薦も受けるといっているが、まだどの政党も推薦をしていないが……。少なくとも3氏が有力というかテレビに出演させなければならないと判断したのは、政党の推薦や支持があるからであろう。
だから、政党の正式な推薦や事実上の支持は大きな意味をもっているのだ。これがなければ昨晩のテレビには出演させてもらえないのだ。にもかかわらず、石原氏と浅野氏は推薦問題をハッキリさせていない。こうしたビヘイビアは本当に正しいのだろうか。ハッキリさせなければならないことは、ハッキリさせるべきである。いうならば候補者の情報公開とでもいっておこうか。政党というのはそんなに忌み嫌うべきものなのか。もしそうだったとしたら、そういう政党の推薦や支援・支持は要らないとハッキリというべきではないのか。美味しいところはシッカリ頂いて、マイナス面はあえて隠しておくというのは、有権者をなめているといわれても仕方ないだろう。
このように政治に関する報道には、難しい問題がある。しかし、難しい問題だけに基準だけは、明確でなければならない。それでは、また明日。