しかしながら、私が自治大臣に就任した8か月前は、地方分権に対する地方公共団体の熱い期待は感じるものの、地方分権を勝ち取っていこうとする気運はやや低調な気がいたしました。また、地方分権を議論する場合に必ず厳しい目を向けられる地方行革についても、行政改革を求める国民の声が大きくなっているにもかかわらず、地方自治関係者の認識は今一つ薄いように感じられたのです。

   この結果、地方自治の新たなる時代に向けた気運は徐々に高まってきていると感じておりますが、私自身、首長さんたちが様々な工夫と苦労を重ねて行政改革や地域づくりに取り組む様子をお聴きして、地域での具体的な実践の積み重ねの中にこそ、行政改革の知恵や真の地方分権への道筋が見えてくるということを確信いたしました。

   このセミナーは参加された方々に大変好評で、地方の皆様方から刊行の強いご要望をいただいていることから、今般、セミナーの成果を地方全体で共有するため、その全容を｢地方自治・新時代シリーズ｣として刊行することに至った次第です。地方自治の現場で奮闘されている方々にとっても、このセミナーは大いに参考になるものと思います。

   いま、地方自治は、大きく変わろうとしています。本シリーズが、地方自治の新時代への飛躍に少しでも貢献することを願ってやみません。

平成９年7月