以正合、以奇勝。
08年09月05日
No.921
自民党の総裁選と民主党の代表選が同時並行で始まろうとしている。見事に明らかな違いがある。動と静だ。どちらが果たして効を奏するのか。これはけっこう難しい問題だ。ところで“奇兵隊”という名を永田町徒然草の読者はほとんどご存知のことと思うが・・・・。
幕末の志士で私が好きなのが、高杉晋作と坂本龍馬である。いうまでもなく“奇兵隊”は高杉晋作が中心になって創設させた長州藩の軍事組織の名称である。正直に告白するが、なぜ“奇兵隊”という名称が付けられたのか、私は知らなかった。高杉晋作は酔狂が好きな人物だった。軽い気持ちで変わった名前を付けたのだろう、とも思っていたのだが・・・(笑)。
戦者、以正合、以奇勝。…奇正之変、不可勝窮也
- 【読み】
- 戦いは、正(せい)を以って合(がっ)し、奇(き)を以って勝つ。奇正の変は、窮(きわ)むるに勝(と)うべからず。
- 【語意】
- 合戦のばあいは正々堂々の陣を張って戦い、奇襲を受けたばあいには、ただちに応変の処置をとって、これに勝つべきものである。
こうした奇正応変の道は複雑多様で、きわめつくせないほどである。
“孫子の兵法”で有名な古典『孫子』の中(勢篇)にある有名な言葉である。語意は諸橋轍次著『中国古典名言事典』のものである。
高杉晋作はなかなかの秀才であった。吉田松陰が見込んだ松下村塾の逸材であった。『孫子』のこの言葉を吉田松陰から高杉晋作は直々に教えられたのかもしれない・・・。吉田松陰と高杉晋作の師弟の絆について、永田町徒然草No.131「吉田松陰と高杉晋作」に書いてあるのでご一読いただければ幸いである。
福田首相の今回の唐突な辞任は、民主党にとっていうならば「奇襲」であろう。『孫子』のこの言葉を噛み締める必要がある。政権をめぐる戦いは、そもそも命懸けのものである。政権を獲得することは、必死でなければ成就できない。この必死さ・気迫が、私にはどうも伝わってこないのだ。いっぽう自民党、自公“合体”体制は必死である。政権がなくなれば、自民党も自公“合体”体制も崩壊するのだ。だから恥も外聞もないのだ。心して向かわなければならない。
それでは、また。