ウィンザー・ホテルの怪
08年07月08日
No.863
なんだか華やかな洞爺湖サミットである。福田首相は極めてご満悦である。まぁ、父君がやれなかったサミットを主催できるのだから、喜びこれに優るものはないのであろう。福田首相は最初からボロクソに言われてきた。私もそういってきた一人である。しかし、このサミットをやることだけが、福田首相の生甲斐だったのであろう。だから耐えてこれたのだろう。
洞爺湖サミットの最大のテーマは、そもそもCO2削減だった。CO2削減の目的は、地球温暖化の抑制であり、一言でいえば“環境”だ。環境をテーマとするサミットの会場があのウィンザーホテルというのは如何なものか。私はリゾート問題に大きな関心をもってきた。世界のリゾート地をたくさん見てきたが、あのホテルはリゾートホテルとしては褒められたものではない。ウィンザーホテルがリゾートホテルでないのであれば特に何もいう積もりはない。しかし、あれはどう見ても、リゾートホテルだ。
リゾートの専門家としていえば、あのホテルはリゾートホテルとして最悪の部類に属する。そんなホテルを“環境”サミットの会場とするのは、どういう神経なのだろうか。あれが日本を代表するリゾートホテルと考えているのならば、私はその神経を疑う。洞爺湖を取り囲む山の天辺を切り開き、人工的に作られた気味の悪い構造物だ。あんなリゾートホテルを好む者は、成金だけだ。リゾートは、自然との共生をいちばん大切にする。あのホテルの全景が世界に放映されるたびに、世界の心ある人々は眉を顰めるであろう。わが国のリゾートの底が見られてしまう。
洞爺湖サミットは、“環境サミット”である。わが国の環境問題の専門家が動員されている筈だ。その中の誰一人も、あのホテルをサミット会場とすることに疑問をもたなかったことが不思議でならない。CO2削減だ、地球温暖化阻止だ、環境保全だといろいろと論じてはいるが、“環境”を大切にすることなど本当はどうでもよいのだろう。2万人もの警察官を全国から招集して警備するのは、環境・CO2からいっても問題であろう。
要するに言行が一致していないのである。ハッキリいえば、やることなすことが出鱈目なのだ。トウモロコシが買えなくて飢えているアフリカの人々を救うのは、トウモロコシからバイオガソリンを生産することを止めることだ。こんな単純なことが分からない政治家がたくさん集まり、いくら協議しても大したことを決めることはできないだあろう。
それにしても昨夜から今朝にかけてのフェデラーとナダルの試合は、凄かった。まさに両雄が死力を尽くした激闘だった。感動的でさえあった。政治でもこのような闘いがみたいものである。
それでは、また。