解散しない理由!?
08年06月13日
No.837
事前の報道どおり、福田首相に対する問責決議案は参議院で可決され、福田内閣に対する信任決議案は衆議院で可決された。どちらも憲法上、特にどういう意味ももっていない。まぁ、与野党の政治的マスターベーションといったところだ。しかし、本当にそれでよいのか。
昨日の永田町徒然草No.836「なぜ解散しないのか!?」で述べたことは、実は重要なことを指摘しているのである。ほとんどの人が指摘していないが、現在の国会の状況は“ねじれ”でも何でもない。自公“合体”体制は、衆議院で3分の2を超える化け物のような議席をもっている。憲法59条の2項と4項の規定により、自公“合体”政権は再可決で何でも決めることができるのだ。もちろん、この伝家の宝刀を使うことはきわめて危険なことであったのだが、新テロ特措法案と租税特別措置法改正案の再可決でこれが使えることの味をしめたのだ。
どちらも国民の3分の2近くが反対していた法案である。それを再可決しても大した混乱は起きなかった。そのことに味をしめた自公“合体”政権は、これからあと1年間余ある任期内の国会で、重要なことを全部決めておこうとしているのである。自公“合体”政権がいちばん狙っているのは、税制の改正であろう。特に消費税の大幅アップである。“今年の秋の税制改革”と自公“合体”政権が盛んにいっている。“今年の秋の税制改革”とは、道路特定財源の暫定税率の多少の見直し、環境税導入、たばこ税の増額などがターゲットだと多くの国民は思っている。大した内容の税制改正とは、誰も思っていないのではないか。
しかし、彼らが“今年の秋の税制改正”で狙っているものは、消費税の大幅アップだと私は思っている。そんなことをしたらタダでさえ苦戦が予想される自民党と公明党は合わせても過半数を割る、すなわち政権を手放すことになるから、そんな馬鹿なことをする筈がないと多くの人が思っている。だが、それは甘い。永田町徒然草No.836のいちばん最後に「彼らは狡猾であり、危険であり、したたかなのだ」と書いたのだが、私は「彼らは狡猾であり、凶暴であり、したたかなのだ」と改めた。追い詰められた自公“合体”体制は何でもやる。“危険”と表現したのでは、それこそ危険である。だから“凶暴”と書き改めたのだ。
自公“合体”体制が次の総選挙で議席を減らすことはほとんど避けられない。そんなことは彼らも覚悟している。問題は“負け具合”なのである。野党が完全に過半数を制し、政権を組織できるほどの勝ち方でなければ、負けたとしても彼らにとっては大した問題ではないのだ。衆議院の3分の2を超える議席を獲得できなければ、どうせ現在のようなことはやれないのだ。野党が少しくらい勝ったからといっても、ひとたび成立した法律を廃止し、新しい制度を作ることはそんなに簡単なことではないのである。野党と国民は、道路特定財源の暫定税率の復活を許してしまった。このことで彼らはひとつの自信をもったのである。
自公“合体”体制が、衆議院の3分の2を超える化け物のような議席をもっている現在の状態は特別の意味をもっているのだ。特殊な政治状況といってもよい。このような特殊な政治状況において、“狡猾で、凶暴で、したたか”な自公“合体”体制の政治行動に対しては、非常な決意で対処しなければならない。私がいつもいっている政治の基本である、“具体的状況における具体的分析”の能力が必要なのである。こう考えると、これからの野党と国民の闘い方の方針が明らかになる。今日はここまでとしておこう。
それでは、また。