漂流する首相
08年06月10日
No. 834
福田首相が何だかバタバタと動いている。NHKの世論調査によると内閣支持率が5%上がり、不支持率が5%下がったという。いつも言っているように内閣支持率というのはかなりいい加減なものであるから、今日はこれに触れないこととする。それよりいったい福田首相は何をしたいのだろうか。それが問題だ。
福田首相が何をしたいのか私にはまったく判らない。そもそも福田首相には最初からやりたいことなどあったのだろうか。福田首相の薄笑いを浮かべたあの顔を見ると気持ちが悪くなる。政治家になったら誰でも一度は総理大臣になりたいと思うという。それは嘘である。私も政治家を長くやったが、何でもいいから総理大臣になりたいなどと思ったことはない。たった一つでも命懸けでやりたいことがあるから総理大臣になりたいのだ。命懸けでやりたいことが何もないのに、総理大臣になった政治家など私は見たことがない。そういう政治家もいることはいたが、そういう政治家を総理大臣にしようという政治家などいなかった。
どういう訳かいまなお判らないが、安倍首相が急に辞めた。誰かが総理大臣をやらなければならなかった。せっかく清話会(福田赳夫氏が創設した派閥)が政権をもっているのだから、これを他派閥に渡すこともあるまい。他の派閥も清話会でやって欲しいといっているのだから、ここは政権を手放す必要はあるまい。親父がやれたのだから、自分でもなんとかやれるだろう。折りよくサミットもある。そんな雰囲気でなんとなく総理大臣になったのが福田首相である。
福田首相は最初からこのようにフワフワとした総理大臣なのである。福田首相がそういう人物であることを、自民党や公明党の政治家が知らない筈がない。知らなかったとしたらお粗末としかいいようがない。このような人物を自民党や公明党が総理大臣にしたのである。すなわち自民党も公明党もフワフワとしているのである。官僚たちもフワフワとしている。命懸けで国家を守ろうなどという気概を少しも感じることはできない。その象徴が、“居酒屋タクシー”である。こんなに情けない官僚の姿を私はみたことがない。
食糧問題や地球温暖化問題について、福田首相は聞いている方が恥ずかしくなるようなことを平気で言っている。いやペーパーを読んでいる。書く方も読む方も、それがどれだけの意味をもっているかなどと深刻に考えていない。要するにその場しのぎなのだ。書く方とは、官僚である。読む方とは福田首相である。どちらもフワフワしている。ハッキリいえば、漂流しているのである。漂流している政治に何かを期待することなどできる筈がない。懸命に漂流している福田首相をみて、不支持から支持に変わった国民がいたとしたら、そんな国民も漂流しているのだろう。そんなことでよいのか、と敢えていう。
それでは、また。