勝者と敗者は・・・!?
08年05月01日
No.793
道路特定財源の暫定税率をめぐる今回の戦いは、昨日とりあえずひとつの結果が出た。この戦いに勝ったのは誰で、負けたのは誰なのであろうか。実に単純な問題だが、この答えは意外に難しい。今回の戦いで何を実現しようと考えていたかによって、勝敗の評価は分かれる・・・・・。
私は道路特定財源の暫定税率を廃止させることが今回の目標だったと考えた者である。4月1日から4月30日までの1ヶ月間は、見事に廃止させた。この点では勝った。しかし、5月1日から2018年3月30までの9年11ヶ月間も復活させたしまったのであるから、完全に負けと言われても仕方がない。1ヶ月÷(12ヶ月×10年)=0.008333すなわち0.833%の勝利にすぎない。1%にも満たない勝利なのであるから、どう贔屓目にみても勝ちとはいえないであろう。このことは“とりあえず”率直に認めた方がよいと思う。
道路特定財源を一般財源化することが今回の目標だと考えた者にとっては、2009年4月1日から一般財源化することを認めさせたのであるから、9年÷10年=0.9すなわち90%の勝利であった。目標の90%を達成したのだから、“とりあえず”勝ったといえる。国土交通省・自民党道路族にとっては、大敗北である。自公“合体”政権は当初そのように考えたのであるから、福田首相および自公“合体”体制にとっては大敗北である。
私はどちらにも“とりあえず”という条件を付けた。前者についていえば、今後10年間確実に暫定税率が続くという保証は必ずしもない。後者についていえば、道路特定財源が一般財源化されても、実態がこれまでと殆ど変わらないことは十分に予想される。道路族と自民党および公明党の他の議員の間にはこの密約があると考えることは、そんなに突拍子な憶測ではないであろう。国土交通省の官僚も財務省の官僚も、所詮は官僚同士であり同じ穴の狢(むじな)と考えた方がいいと私は思っている。
私は道路特定財源の一般財源化をまったく評価しない。むしろ間違いだと考えている。だから昨日の結果は大敗北と考える。しかし、今回の戦いにより国民の意識が変わり、今回の再可決で成立した法律を国民の協力を得て廃止させるができるようになったと考えれば、今回は敗れたが最終的な勝者になることは十分可能である。政治は生々流転である。国民の意思によって変わるのである。それが政治である。このように政治の勝敗は、一義的にはいえない。このように考えて、気持ちを新たに前に進むしかない。
それでは、また。