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国益を損なう愚挙!!

07年11月21日

No.620

久々に自公“合体”政権に対し、強い憎悪を覚えた。この政権は、わが国の国益を平気で損なう愚かな政権である。こんな政権にわが国の政治を委ねていては、わが国は衰退する。1日もはやく自公“合体”政権は打倒しなければならない。昨日から実施されることになったわが国を訪問する外国人から指紋を採取し、顔写真を撮るという愚挙のことである。

   外国人の指紋採取を開始

──「テロ脅威」「強制、最悪」

日本に入国する外国人に指紋採取と顔写真撮影に応じることを義務づける制度が始まるのを前に、鳩山法相が19日、成田空港第1ターミナルの新しい入国審査システムを視察した。プライバシー侵害の懸念などから市民団体による反対運動が高まっていることに対し、法相は「テロは大きな脅威。価値の比較考量の問題で、我慢していただくしかない」などと理解を求めた。

制度は20日から全国27空港と126海港で一斉に始まった。在日韓国・朝鮮人ら特別永住者と外交・公用の人を除く、16歳以上の外国人が対象だ。

鳩山法相は視察後、報道陣に「アルカイダの関係人物が日本に何回も入国した事実がある。そういうことを防ぐ効果はあるだろう」と意義を強調した。

一方、国際NGOのプライバシー・インターナショナル(本部・ロンドン)は19日、欧米やアフリカ諸国など約70の市民団体の共同署名で「指紋採取の強制は世界で最悪の国境管理だ」とする声明を法務省と鳩山法相にあてて送付した。

ピースボートやアムネスティ・インターナショナル日本なども都内で合同記者会見を開き、「『外国人の問題』と見過ごされがちだが、日本が導入すれば他国も追随し、日本人も指紋を採られるようになりかねない」と制度の見直しを求めた。 <asahi.com 2007年11月20日06時26分>

鳩山法相は「テロは大きな脅威。価値の比較考量の問題で、我慢していただくしかない」などと理解を求めたという。外国人の指紋と顔写真をとることによりいったいどのような価値が得られるのか。このような制度を実施することにより何が失われるのかということが、法相は全然分かっていないのである。この大臣は“蝶”のことしか本当は興味がなく、人間社会のことが全然分かっていないのである。蝶バカといっても差し支えなかろう。福田内閣には、兵器バカの大臣もいる。マスコミバカの大臣もいる。記憶バカの大臣もいる。政治音痴の首相がトップなのであるから仕方ないのであろう。

原則としてその国を訪問する外国人から指紋と顔写真をとるなどといった愚挙を行っている国は、アメリカとわが国だけである。その理由は、テロ対策である。私はテロを是認する者ではない。しかし、わが国にどのようなテロが行われるという具体的な危険性があるというのだ。国際的なテロ組織が存在している以上、一般論としてはわが国にもテロが起こる危険性はある。ましてや、廃止されたとはいえテロ特措法に基づきアフガン戦争=アルカイダ撲滅戦争に加担したわが国がアルカイダの標的になることは十分あり得ることだ。

いつもいっているように政治は、“具体的状況を具体的に分析”して行わなければならない。国際的テロを防止する上で、今回の措置は一般論として効果がない訳ではないだろう。しかし、国際的テロ組織がテロを実行するためにわが国がすでに指紋と顔写真をもっている実行犯をわが国に潜入させるだろうか。そんな間抜けなテロ集団が行うテロなど大したものではないだろう。わが国はそんな間抜けなテロ集団を想定してテロ防止策を考えているのだろうか。まったくお話にならない。10万円以上の送金に一定の制限を設けたのと同じ類である。

私はこれまでに何十カ国に行っている。入国に際し指紋や顔写真を要求する国があったら、余程の必要性がある場合しか私は訪問したいとは思わない。あなたはどうであろうか。これは職務質問に対する対応と似ている問題である。「自分にやましいところがなければ積極的に協力すればいいではないか」と考える人は、これから私が述べることを読む必要はない。要するに価値観が違うのだからしょうがない。

指紋や顔写真をとる(指紋は採るだし、写真は撮るなので「とる」と書く)というのは、犯罪摘発のためである。今回のわが国の制度もそのためだと当局はハッキリと言明している。わが国に入国を求める外国人に指紋と顔写真をとることは、犯罪者のそれと対照するために行うのである。言葉を換えていえば、一応犯罪者の可能性があるとして行う措置である。仮にも自分を犯罪者とみなす国に、人々が気持ちがをもつ筈がない。そんな国には行きたくないと思う人がいるのは仕方ないであろう。その割合がどのくらいあるか、私には分からない。しかし、ゼロではないことだけは確かであろう。

わが国は観光立国を目指すといっている。この方針に私は大賛成である。観光産業こそ“文化産業”であり、わが国がこれから力を入れなければならない重要な産業なのである。またわが国を訪れる人々を増やすことは、わが国に対する理解を深めてもらうこととなり、外交戦略上もきわめて重要なのである。わが国の古い文化は、貴重なものである。また日本人の way of life は、省資源時代に参考になる貴重なものがいっぱいあると私は確信している。日本食は、その代表である。鉄道網が張りめぐされたメガロポリスも世界各国の巨大都市の参考になると思う。

しかし、私がもっとも観てもらいたいのは、わが国がアジアでもっとも自由な国として発展してきたことである。わが国の繁栄は、自由主義の素晴らしさを示すモデルなのである。アジア諸国の経済的発展には目ざましいものがあるが、その運営のシステムは脆弱なものが多く、持続して発展する上で大きな危惧がある。わが国がいろいろな困難に直面しながらも、長期間にわたり経済的発展を持続できたのは、自由主義的な経済システムなのである。政治的な自由主義がなければ、経済的な自由主義は絶対に無理である。政治的自由を否定してしながら経済的自由主義=市場主義で経済を発展させようとしている中国の経済発展は、その矛盾を抱えている。

自公“合体”政権が誕生してから、上記で述べたようなわが国の誇るべき点が怪しくなってきたことは事実である。そのことを私は憂いているが、完全になくなった訳ではない。しかし、外国人から入国に際して指紋と顔写真をとるという今回の措置は、わが国が自由主義国家であることを放棄すると内外に表明するものである。基本的人権は、そもそもグローバルなものである。従って、“真に特別の已むを得ない理由”がない限り、外国人の基本的人権も尊重されなければならない。

テロ防止などといった一般的な理由は、形式的にも実質的にも“真に特別の已むを得ない理由”とはいえない。またわが国が文化産業としての育てなければならない国際観光政策に明らかに反し、この発展を阻害すること著しいと私は考える。イギリスやフランスを見よ。観光はこれらの国のとって重要な産業以上のものである。明治以降わが国の近代化の結果築かれてきたものを含めて、先人が私たちに遺してきてくれたものは国民の財産なのである。この文化的な遺産を活用することは、文化大国だけができる文化産業なのである。この産業の芽を摘み、これからわが国に国富をもたらす産業を破壊することは、愚挙である。暴挙である。

ヘミングウェイの『誰がために鐘はなる』をもち出すまでもなく、今回の措置の実施は、国民の基本的人権の尊重の上でも必ず大きなマイナスとなる。刑事司法の上で基本的人権が大きく後退していることは、いまや司法関係者の共通の認識である。今日の asahi.com に「冤罪県議のアリバイ、逮捕直後に把握 鹿児島県警警部ら」という驚くべき記事があった。一事が万事、自公“合体”政権のやることはこのように出鱈目なのである。この国を自公“合体”政権にまかせておくことは、もう危険である。国富と国民の利益が日一日と失われている。

それでは、また明日。

   

  • 07年11月21日 12時07分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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