選挙を目的とした連立!?
07年09月30日
No.566
森田実氏のWebサイトを私は毎日必ずみる。相変わらず精力的に書いている。少し前だが、なるほどなぁーと思った記事があった。改めて読み直してみた。きわめて単純なことだが、非常に重要なことに気が付いた。まずは気になった記事を読んでもらいたい。
「公明党には『公明』な政治姿勢を誠実に貫くことを要求したい。具体的に言えば2つある。
第一は、国民生活を破壊した小泉構造改革に積極的に協力し、推進してきたことを、はっきりと自己批判し、小泉構造改革との訣別を宣言することである。第二は、大義名分がなくなった自民党との連立を解消することである。
自民党と公明党の連立の唯一、最大の大義名分は、参議院の過半数確保にあった。参院の自民党の議席数が過半数に不足したため、数を補うために公明党と連立したのである。 だが、去る7月29日の参院選で自民・公明の合計が過半数以下になっただけでなく、民主党単独の議席数を下回った。自民党は衆院では過半数を上回る議席をもっている。これで政権は維持できる。公明党と連立してもしなくても状況は変わらない。
自民党と公明党が連立する意味も、大義名分もなくなったのである。それでも両党が離れられないほど一体化しているのであれば、合同すべきである。大義名分なき連立は、政治を堕落させる」
以上は、森田実氏のWebサイトの『森田実の時代を斬る』というコーナーに掲載された森田実の言わねばならぬ―[579](2007年9月22日掲載)からの引用である。引用にあたり私の責任で読み易いように改行などの変更した。
ほとんどの政治評論家や政治コメンテーターが自民党と公明党の連立について口を噤んでいる中で、森田実氏は自公連立について批判をしている数少ない政治評論家である。私がハッとさせられたのは、“第二”の指摘である。私のように憲法論から批判してきた者にとっては、こんな単純なことを見逃していた。
そうだ。小渕首相や野中官房長官が公明党との連立に熱心だったのは、1998年夏の参議院選挙で自民党が大敗し、参議院で過半数を失った後であった。金融不安が懸念される中、わが国の政治に責任をもたなければならないというのが、自民党にとっても公明党にとっても国民から強い反発を受けていた自公連立を行うにあたっての最大の大義名分だった。
森田氏がいうように自民党と公明党の議席を合わせても参議院の過半数にはならない。また自民党内閣を存続させるためには、衆議院で自民党は3分の2を超える議席をもっているのだから、首班指名も憲法59条2項による法律案の再議決も単独で行えるのであるから、公明党との連立は必ずしも必要ではない。
そもそも連立政権を組織するのは、原則として憲法等の規定によってひとつの政党では政権を組織できないか、政権の運営が円滑にできない場合に行うものなのである。連立政権は選挙の結果を受けたものであり、選挙を目的とするものではない。わが国に誕生した過去の連立はこのようなものであったし、諸外国の連立政権もそのようなものと承知している。このように考えると自公連立は非常におかしいものである。こんなことを踏まえて私は自公“合体”体制と呼んでいるのである。
それでは、また明日。