党首の第一声
07年07月13日
No.486
昨日の公示日、私はやむを得ない仕事のために1日中デスクワークだった。書き物をしながら、テレビのニュースをチェックした。国政選挙が公示日当日どのように報道されるのかをみるのは、私にとってはじめての経験である。もちろんいちばん関心のあったのは、各党の党首の第一声であった。政治家の演説は、生きものである。どの場所を選び第一声で何をいうかは、選挙においては非常に大切なことなのである。
まず安倍首相は、東京・秋葉原で第一声をあげた。相当に考えてた上でのことなのであろうが、私はいただけないと思う。選んだ理由は、若者やITを重視しているとことをアピールする狙いであろう。しかし、いまの若者は、自分たちに媚びを売る政治家を嫌う。またITを重視する姿勢を示したかったとしたら、何よりも選挙期間中も候補者のWebサイト利用を解禁することであろう。確か今回の参議院選挙からそれを可能にするといっていたと思うのだが、結局は解禁しなかった。政治や選挙を真剣に考える若者たちが候補者のWebサイトにアクセスすると、例の「公職選挙法の規制により更新できません」という記載をみることになる。それをみて多くの若者は幻滅し、怒るであろう。また、ITに熱心な若者は管理されるのが嫌いなのを、全然知らないのではないか。
次に第一声の中身である。正直にいって40年以上も前の自民党の政治家の演説と同じであった。私は32年前にはじめて衆議院選挙に立候補したが、あのような演説をしたのではとても当選できなかったであろう。あの驕りはなんだ、といいたくなる。衆議院で3分の2の議席をもっていることからくるのであろう。自民党はもう創価学会・公明党の支援がなければ、ほとんどの選挙で統一した野党には勝てないという認識がないのだ。また自民党青年局長のような安っぽい野党批判をしていた。改革を進める自民党か、改革に逆行する野党かといっていたが、安倍内閣の支持率がなぜ落ちたのかという分析をしていないのであろう。
夜、テレビ朝日の『ニュース23』で7党党首が出演する討論番組があった。ここでも、安倍首相の喋ること喋ること!? 喋るのはいいのだが、あれは総理大臣の発言ではない。幹事長や政調会長のそれでもない。まあ、政調会長代理クラスの内容と態度であった。これは安倍首相の最近の顕著な傾向である。党の幹部や選挙責任者が注意をしないのだろうか。いま争われているのは、安倍首相でいいのかどうかということなのである。国民の多くは、これまでの安倍首相のやり方をみて不支持を表明する人が増えているのだ。ああいう物言いや態度では、不支持がますます増えていくだけであろう。私としてはそれでよいけどネ。自民党には完全に人材がなくなったということであろう。
公明党の太田代表は、名古屋市で第一声をあげた。3人区である愛知県選挙区で公明党現有議席の確保は、そんなに安泰ではないという。危機感の現われなのであろう。太田代表も安っぽい野党批判をしていた。野党暮らしが長かった公明党は、与党であることがよほど嬉しいのであろう。また未来に責任をもつと強調していた。しかし、公明党の主張はその都度その都度コロコロと変わることで定評がある。そんな政党の未来などという言葉は聞きたくない、というメールをいただいた。政策力という言葉と同時に“実現力”ともいっていた。政党や政治家の“実現力”などという言葉は、はじめて耳にした。自公“合体”政権の“実行力”が問われているからこそ、与野党逆転かどうかといま騒がれているのだろう。責任意識のない“責任政党?”の党首である。
野党5党の党首の第一声については、論評をしないでおこう。少なくとも安倍首相や太田代表ほどの酷さはなかったとだけいっておく。その中で共産党の志位委員長と国民新党の綿貫代表が、自公“合体”政権を「ブレーキのない暴走自動車」といっていた。二人とも強行採決を多発したことを主にいいたかったのであろう。私は、自公“合体”政権が進める政治の中身にブレーキが完全になくなり、右翼反動路線を暴走していることに注意を喚起したい。憲法改正の動きだけではなく、行政や司法の現場で憲法の精神に反する施策や行動がドンドンと進められている。この暴走自動車は、まず止めなければならない。それから先どうするかは、選挙後にジックリと考えることにしよう。
それでは、また明日。