今回の参議院選挙の目標値
07年07月11日
No.484
私は『朝日新聞』の連続世論調査で世論の動向を探っている。各報道機関も世論調査の結果を発表している。当然のことであるが、『朝日新聞』の調査と同じような傾向である。私は永田町徒然草No.480で「ほとんどの選挙予測は公明党が獲得する議席を所与のものとしている。果たしてそうだろうか。投票率が10%も上がれば、公明党の議席は比例区でも選挙区でも確実に減少する。今回の選挙のひとつの注目点は、公明党が何議席とれるかだと私は思っている」と書いた。
各報道機関の選挙予測は、公明党の予想獲得議席を12+1としている。ほとんど前回と変わらないとみている。そんなに公明党という城は、難攻不落なのだろうか。私はそうと考えていない。昔の戦に例えるならば、公明党という城は水攻めに弱い。水位を上げるのだ。すなわち、投票率を上げればよいのである。安倍首相が国会の会期を延長して投票日を1週間延ばした。ひょっとすると、これには公明党の入れ知恵があったのかもしれない。確かに夏休みに入って最初の日曜日となると、投票率は数%くらい下がるかもしれない。しかし、それは国民の考え方ひとつである。
ちなみにこの5月に行われたフランス大統領選の投票率は、投票が2回行われたにもかかわらず、いずれも80数%だった。日本人にとってフランスという国はセレブな国である。セレブな国というのは投票率が高いものであるということを、女性が多く見るワイドチョー番組などで報道するようにうまく仕掛けられないものか。それとも、わが国の場合はやはり“○○一揆”という方が現実的なのかなぁー(笑)。各報道機関の世論調査で「必ず投票に行く」と答える人がこれまでの参議院選挙の数値よりかなり高いといっている。あと一歩だ。
私などは、要するに自公“合体”政権を倒そうという動きが起こりさえすればよいのだと考えている。幕末、誰が組織したのかよく分からないところがあるのだが、“ええじゃないか”という運動が全国的に起こったという。そのようなものでよいと思う。わが国の国民は、現権力を倒せると思ったとき爆発的なエネルギーを発揮するとある評論家がいっていた。自公“合体”政権には、腐臭が満ち満ちている。その政権を倒せる絶好の機会がいまだということを野党が示せば、爆発的なエネルギーが出てくるのである。
公明党の獲得議席を2~3くらい減らして10議席前後、自民党の獲得議席を40議席前後にしてしまえば、与党は参議院の過半数に10数議席及ばなくなる。このくらいにしておかないと、与党は現在野党としてカウントされている議員を引き抜いて帳尻を合わせてしまう危険性がある。そういうことを狙ってウズウズしている輩が実際に現れはじめている。もう2人は確実にいる。
しかし、自民党と公明党を合わせても50議席前後しか獲得できないとなると、もう変な動きはできなくなる。それに衆議院の選挙の動きまで変化が出てくる。参議院選挙が終れば、衆議院の任期も残り2年1ヶ月となる。参議院が過半数割れをしていたのでは、与党はもう国民の信任を受けていないのだという雰囲気が出てきて、この2年間のようなやりたい放題はできなくなる。憲法59条のいわゆる“3分の2条項”を使って法律を成立させることは、政治的にそんなに安易にできるものではないのだ。
衆議院を解散して国民の意思を反映した衆議院にせよ、という声が澎湃として起ってくるだろう。自公“合体”政権は、完全に行き詰まってくるのである。その衆議院総選挙で、自公“合体”政権を完全に葬らなければならない。自公“合体”政権に代わる政権を作っても、その政権が参議院に過半数をもっていないようでは、新しい政権の運営がうまくいかない。今度の参議院選挙は、近いうちに必ず誕生する自公“合体”政権に代わる新しい政権のための選挙なのだ、というくらいに考えなければならない。
こう考えれば、今度の参議院選挙は実に楽しい選挙ではないだろうか。自民党や公明党は偉そうなことをいっているが、そもそも化け物のような衆議院の与党の議席は、郵政解散選挙という詐術を使って騙し取ったものに過ぎないのである。「カエサルのものは、カエサルに返せ」ということなのだ。自民党・公明党両党の諸君は偉そうなことをいっているが、少しは恥を知れといいたくなる。野党も「前回の衆議院選挙で与党が勝ちすぎたのだから今回はバランスをとらせて欲しい」などと遠慮がちにいうのではなく、堂々と小泉前首相の詐術を糾弾しなければならない。
「 (公明党が)自民党と連立政権を組んだ時、ちょう どナチス・ヒットラーが出た時の形態と非常によく似て、自民党という政党の中にある右翼ファシズム的要素、公明党の中における狂信的要素、この両者の間に奇妙な癒着関係ができ、保守独裁を安定化する機能を果たしながら、同時にこれをファッショ的傾向にもっていく起爆剤的役割として働く可能性を非常に多く持っている。そうなった時には日本の議会政治、民主政治もまさにアウトになる。そうなってからでは遅い、ということを私は現在の段階において敢えていう。」
いつも引用して恐縮だが、『創価学会を斬る』の中で藤原弘達氏が指摘していることである。藤原氏の言を借りれば、現状はすでにもう“アウト”なのである。私はそのように現状を受けとめている。このような秋(とき)に立ち上がらない国民は、“アウトな有権者”と呼ばれても仕方がないのではないか。民主党の小沢党首は、「改選議席を含めて野党全体で過半数を獲得できなければ、政界を引退する」と自らの退路を断った。私たちも高い目標を掲げて、今度の選挙を戦おうではないか! いよいよ明日、天下分け目の参議院選挙が公示される。
それでは、また明日。