自公政権とマスコミの三つの嘘
16年07月07日
No.1844
第一の嘘 年金基金の損失は、10兆円以上
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)というものがある。国民の厚生年金と国民年金の、積み立てと運用を行う組織である。安倍首相は 2014年10月31日から運用金の割合を、国内債券35%・国内株式25%・外国債券15%・外国株式25%に増やしたのだ。要するに、国内外の株式で運用する割合を2倍にしたのである。
株は、値上がりすれば運用益が大きいが、値下がりすれば損失も大きい。要するに、リスクが大きいのだ。日銀の通貨供給量を増やす政策で、最初、日本の株価は上昇したが、最近はこれが行き詰まって、株価が低迷してきた。昨年度は、5兆円の損失を出した。そして、今年度に入っての株安で、最低でも既に5兆円の損失を出したと見られる。合計で、10兆円の年金資金が消失してしまったのだ。安倍首相は、これに対してどう責任を取るのか。できる訳がないだろう。
第二の嘘 “改憲勢力3分の伺う勢い”など、世論誘導記事そのもの。
参議院選挙の公示直後に行ったという世論調査で、各マスコミは自公圧勝と一斉に報じた。実際の調査を行ったところは各新聞社ではなく、ある調査会社のデータを使いまわしている疑いがあるのだ。昔の新聞社は、絶対にこんなことは行わなかった。要するに、大手マスコミのこの報道は、「自公圧勝」と報ずることにより、国民の意気を阻喪させることを狙った世論誘導記事なのだ。
今週の初めに、大手マスコミがまた一斉に“改憲勢力3分の2を伺う勢い”と報じた。これも、公示直後の世論誘導記事と本質は同じであろう。私は、自民党総務局長時代に数多くの世論調査を行った。その経験からいえば、彼らが発表している世論調査そのものに、大きな矛盾がある。
イ アベノミクスで自分の暮らし向きは良くなったか。
ロ 野党の議席が伸びた方が良い思うか。
ハ 憲法改正に賛成かどうか。
ニ 社会保障政策に満足しているか。
などという質問に対する回答では、いずれもNoとするものがかなり多いのだ。
それなのに、安倍内閣支持率は異常に高いという。与党候補が強いともいう。そんなことは普通、あり得ないことなのだ。憲法改正に否定的な数字が多いのに、“改憲勢力3分の2を伺う勢い”と華々しく報道すれば、そのアナウンス効果として、野党共闘への支持が増えるのは世論調査の常識である。マスコミが国民の味方でないことに覚醒した多くの国民は、既に気が付いている。誰がこのような世論誘導記事の仕掛け人か知らないが、こんな世論調査と称する世論誘導記事を恐れる必要など、毛頭ない。
第三の嘘 自民党でさえ“Not Under Control”の無能な安倍首相
東京都知事選挙を話題にすることによって、政府与党と大手マスコミは、参議院選挙から国民の関心を逸らすのを狙っていた。そもそも、都知事選の告示日を7月14日としたのも、政府与党と東京都が相談した上で決めたのであろう。しかし、参議院選挙の4日後に告示日を設定すること自体が、都知事選を政府与党で完全に仕切れるという
政治与党と大手マスコミは、都知事選を自分たちで仕切れると思っていたのであるが、その作戦に狂いが出てきたのだ。小池百合子元防衛大臣が、都知事選に立候補すると表明したのだ。自民党は、増田寛也元岩手県知事を擁立しようとしている。野党が誰を擁立するかによっては分からないが、この二人だけの強弱を言うならば、政府与党がいくら組織票を固めたとしても、最後まで小池氏の方が強いであろう。
オリンピック招致の時、安倍首相が事故を起こした福島第一原発の放射能汚染について、完全に“Under Control”と演説したのを忘れる人は、いないだろう。アベノミクスは成功しており、道半ばなのだから「アベノミクスのエンジンを吹かさせて欲しい」と言っているが、自分が総裁を務める自民党でさえ、Controlできないのだ。
大手マスコミに呑ませ食わせして、世の中を騙している安倍首相であるが、自分が最高責任者を務める自民党でさえ、“Not Under Control ”の無能な政治家なのである。「こんな首相を支持する人々が多くいるわが国は、いったい何なのか」と、私は言いたくなる。日本は、相当に危ない段階にある。覚醒した国民の賢明な1票1票で、わが国を取り戻さなければならない。元自民党リベラル派生き残りの、心からの訴えである。