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憲法と国会は、こう破壊された-3

15年09月23日

No.1783

9月18日の午前9時頃、私は目が覚めた。この日のスケジュールは、だいたい分かっていた。参議院本会議では、まず、議運委員長と参議院議長の解任決議案が出されて採決されること。そして、衆議院で内閣不信任案が提出されることであった。内閣不信任案が提出されると、衆参のすべての議案に優先して審議されることになる。だから、最大の焦点である安保法案が採決に付されるのは、その後ということになる。

この週は、国会も忙しかったが、白川勝彦法律事務所も忙しかった。私は事務所で仕事を終えて、午後3時半頃に国会に入った。衆議院本会議は、午後4時半にセットされていた。衆議院は自分の家みたいなものだから、人がどう動くかも正確に分かっている。私が、2階にある議員食堂で食事をし、お茶を飲んでいると、衆議院本会議に集まってくる議員たちとも会えるので、いろいろと話ができた。自民党の議員もいれば、野党の議員もいる。私は人を見て、それぞれと話した。

定刻の4時半から、衆議院本会議が始まった。まず、民主党の枝野幹事長から、内閣不信任案の提案理由が述べられた。約2時間近くに及ぶ、提案理由の説明であった。この演説は、稀に見る大演説、かつ名演説であった。私もかなり国会にいたが、これだけの演説を聴いたことがない。しかも、2時間の演説というのは、戦術的にも優れたものであった。連休明けには速記録が出来あがるので、これは是非、読まれるようにお勧めする。

「あらゆる手段を駆使して、安保法案の採決を阻止する」と野党が口を揃えて言っていたのであるなら、私は、後に続く民主党・共産党・維新の党の党首が枝野氏並みの演説をしてくれるものと期待していた。だが、それなりに努力はしたようだったが、とてもひとり1時間という訳にはいかなかった。「牛歩でもやるのかなぁ」と思ったが、それもなかった。憲法を破壊しようという勢力に対しては、牛歩くらいをやっても良いと私は思ったのだが…。

記名採決なので、一人ひとりが議長席前に行って投票する。この10数年で衆議院の顔ぶれは、相当変わった。私には、参議院の顔ぶれよりも分からなかった。こういう連中は、いま自分がやっていることが果たして分かっているのだろいうかと思いながら、これを見ていた。私の衆議院初当選は、昭和54年である。私より先に当選した衆議院議員は、与野党合わせてもう2~3人しかいない。感慨一入(ひとひお)であった。

衆議院本会議で内閣不信任案が否決されたのは、午後8時頃だっただろうか。この衆議院本会議をNHKが中継したかどうか、まだ確認はしていないが、これは、中継されるべきであった。野党5党が内閣不信任案を提出するということは、最大級の抗議・抵抗なのである。否決されるのは判っていたとしても、その過程で何が述べられ、各議員がどのような行動をしたかが重要なのである。多くの国民も、前述の枝野氏の発言を聴いたら感激し、自公"合体"政権の非道さに怒りを抱いたであろう。

衆議院で内閣不信任案が否決されたら、後は参議院本会議だけである。私は再び、参議院に向かった。参議院本会議でまず議題となったのは、安保特別委員会鴻池委員長の問責決議案であった。各委員会の委員長の解任決議案というのは聞いたことはあるが、委員長問責決議案というのは初めてだ。常任委員会の委員長は、それぞれの院の本会議で選出されるので、委員長解任決議案も本会議に提出される。特別委員会の委員長は、その特別委員会で選出されるので、解任決議案もその委員会に提出され、そこで採決されるのだ。鴻池委員長の解任決議案は、9月17日に既に済んでいた。

安保特別委員会における安保法案の“処理”は、とにかく(ひど)かった。このようなことは、絶対に認めてはならない。だから、鴻池委員長の問責決議案が提出されるのは、当たり前のことであった。この案件の処理にも、まず時間制限の手続きがなされた。それも、おかしなことである。自公“合体”政権は、何でも数で制限すれば済むと思っている。多数決という横暴である。鴻池委員長の所業が許されるか否かという審議に、時間制限するというのは余りにも情けないし、自民党・公明党等も、同罪だと自白しているのだ。

鴻池委員長に対する解任決議案の提出理由を述べたのは、福山哲郎参議院議員であった。福山議員は、安保特別委員会の民主党理事であったので、多くの人がテレビで、審議の過程における彼の質問等を見ていると思う。審議の中心にいた議員だけに、鴻池委員長を問責する理由は、微に入り細に及んでいた。この演説も、ご一読をお勧めする。たぶん、この審議の模様はテレビ中継されていないのではないか。民主主義も自由主義も、手続はその重要な要素となっている。今回の安保特別委員会の採決を、単なる“議会内のもめ事”と考えてはならない

この問責決議案も、淡々と処理された。自民党の中にも、この問責決議案への反対には、相当な苦渋があったと私は思っている。先輩として言わしてもらえば、この問責決議案に賛成したからといって、自民党の党内の手続きで処分されることは、まずなかろう。それは、常識と品性の問題であるからである。もしそう考えるなら、政治家は行動で示さなければならない。その勇気がなければ、鴻池委員長らと同類となるのだ。それが、政治の厳しさだ。

参議院本会議は、既に延会手続き(日を跨いで会議をすること)を終えており、明けて9月19日午前0時10分に再開され、いよいよ安保関連法案の採決がなされることになる。その審議は、NHKでテレビ中継されていたようだったので、あえて、ここで詳しくは述べない。採決が終了したのは、午前2時20分であった。この瞬間を国会正門前と国会裏で抗議行動をしている人たちは、どのような想いで受け止めたのだろうか。

私は国会の外に出て、まず、議員会館前の歩道で反対していた人々の所に行った。覚悟していたことはいえ、さすがに、この結果を受け止めなければならない人々の表情は硬かった。私は、声をかけることができなかった。その後、国会正門前にも行った。国会正門前の中心は、まだ多くの人々が、抗議のコールをしていた。私は、その中に長くいることができなかった。小降りになったとはいえ、その雨は冷たく、雨具を着ていない私には、とても辛かった。

私はタクシーを拾い、赤坂まで行ってラーメンを食べ、自宅に帰った。私は、「9月19日未明 憲法9条が壊された」と永田町徒然草に書き、横になって寝たが、なかなか眠りには就けなかった。私がこのように国会に通ったのには、深い訳がある。何とかして自公“合体”政権の暴挙を止めなければならないという気持ちに加え、もうひとつは、“悔悟の念”。それらについては、これから追々と述べるとして、取り敢えず一旦ここで、“この連載”の筆を置く。

それでは、また。

  • 15年09月23日 03時39分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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