安倍首相筋の見え透いた大博打
15年07月18日
No. 1764
安倍首相は17日午後に、新国立競技場の建設計画を“白紙に戻し、ゼロベースで見直すように、下村文部科学大臣と遠藤五輪担当大臣に指示した”と言明した。安倍首相の言によれば、最初から自分もおかしいと思っていた。国際関係や完成がオリンピック・パラリンピックの間に合うかどうか検討していたが、どちらもクリアできるとの見込みが付いたので、このように決断したのだ、という。
最初から“安倍首相自身もおかしいと思っていた”という部分には、疑問がある。安倍首相の立場なら、新国立競技場建設の費用が幾らになるのか、当然知ることができるし、また知るべき立場にある。たぶん、安倍首相自身も事前には知らず、マスコミを通じて知ったのであろう。もしそうだとしたら、発表された直後に、クレームやストップを掛けることもできただろう。しかし、菅官房長官や下村文科大臣の言動からは、そのようなことは全く窺がえなかった。
そうすると、結局は8割を超える人々が新国立競技場建設案に反対したことが、“白紙・ゼロベース”の端的な理由だ、ということになる。さて、今度は安倍首相がトップになって、新国立競技場の建設計画を作るのだが、果たして多くの国民が納得できるように作れるのかという、新たな問題が生じる。これからは高度な事務処理能力の勝負となる訳だが、私の知る安倍首相には、そのような能力はない。たぶん、スッタモンダして、多くの国民を失望させるのがオチだろう。
安倍首相筋は、新国立競技場問題でこのような措置を取ることで、やはり8割近くの国民が反対している安保関連法案の強行採決に対する怒りが収まるのを狙って、今回の挙に出たのであろう。言うならば、“大博打”を打ってきたのである。だが、果たしてそうなるのか。国民の方は、8割を超える国民が安保関連法案に反対すれば、安倍首相は思い留まると考えるであろう。だから、“この戦いはまだまだ続くのだ” ─ いや、続けなけらばならないのだ。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。