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pull と push 考

07年04月07日

No.388

今日で統一地方選の前半戦の選挙運動が終る。明日は投票日である。ほとんどの都道府県で選挙がある。選挙戦そのものがあまり面白いというか緊張感のない選挙というところも多いと思うが、それでも一票にはいろいろなメッセージがある。わが国の政治史上最悪の自公合体政権に打撃を与える一票の行使を考えて、それぞれの選挙区で投票されることを切望する。

それにしても今回も選挙期間中はWebサイトを更新してはならないとことの不都合さを痛感した。いまやほとんどの候補者がWebサイトをもっている。その内容はというと、いまひとつというものも多い。肝心な選挙期間中になると新しい記事をまったくみれないのであるから、その味気なさは一層大きくなる。総務省や各政党はこの問題にどう決着をつけようというのだろうか。この問題については、私は6年前から総務省の見解に大きな疑問をもっている

公職選挙法142条・143条は、選挙運動用の「文書図画」(「ぶんしょとが」と読む)を規制している。そして、インターネットメールの発信やWebサイトの更新は、文書図画の“頒布”にあたると総務省選挙課では解釈している。本当にこの解釈で問題はないのだろうか。このように解釈する官僚は、インターネットというものを本当に知っているのだろか。疑問である。

インターネットの世界には、PULLとPUSHの概念がある。そして、このことは非常に重要なことである。この分類によれば、インターネット・メール(メルマガを含む)は、PUSHである。これは、文書図画の頒布とみなされても仕方ないのではないかと私は思っている。しかし、総務省の「Webサイトの更新は文書図画の頒布であり、選挙期間中は禁止される」という解釈には、私はどうしても賛成することができない。Webサイトをみるということは、どう考えてもPUSHではなくPULLだからである。PULLを“頒布”と解釈することは、法律的にも普通の日本語の解釈としても無理があると思う。

もうひとつの大きな問題は、総務省の「Webサイトの更新は文書図画の頒布であり、選挙期間中は禁止される」という解釈をいったい誰がそう決定したかということがハッキリしていないということである。これまでの総務省とのやり取りで見えてきたものは、一言でいえば「顔が見えない無責任体制」ということである。インターネットのWebサイトの選挙期間中の更新は「文書図画の頒布」には当たらないと私は繰り返して主張してきた。しかし、総務省は昭和20年代、30年代の判例を引っ張り出して「文書図画の頒布」に当たるといい、「だからやめてくれ」といっているに過ぎないのである。だが、インターネットを使ったケースに関してはまだ判例がないのである。そのことを引き合いに出して、さらに総務省の役人を追及すると、「公職選挙法に抵触する“懼れ”がある」と逃げるのである。

これにはふたつの問題がある。第一は、このやり口は官僚の大好きな、法律に基づかないいわゆる「行政指導」ということである。第二は、「前例がない」ことは「どうしても認められない」という頭のカタさである。裁判官が判決を下すときは、その裁判官の名前において、いわば命がけで出すわけである。下手な判決を出せば、上級審で覆されるのである。ところが、官僚は、裁判官が命がけで出した判例を引っ張り出して、その文字の羅列だけを見て、「こういう判例があります」というのである。これは判例というものを正しく理解していない考えだし、その裁判官に対して失礼というものである。判例の拘束力というのは、文章ではなくその判断がなされた事実関係がなのである。インターネットが存在しなかった時代の判例を引っ張り出して、その字面だけを無理やりこじつける手法は、インチキ法律家の手口である。

ちなみに総務省が最大の根拠とする判例は、私の選挙区であった旧新潟4区で昭和20年代から40年代まで何回も当選した猪俣浩三衆議院議員(社会党)の運動員に対する選挙違反事件であった。そこで問題になった事案は、各地区の責任者を集めた選対会議でビラを机の下に沢山積んでいたものを持って行って貰ったというケースであった。持っていってくれと明確にはいっていないがそのような状況では持っていって貰ったことを“頒布”と同じであると裁判官は判断したのである。 この裁判を詳しく追ったわけではないが、多分これは有罪として確定したのであろう。

この事案のケースと候補者のメッセージを知りたい人は読んでほしい(最近では観てほしいという場合も多い)ということで、Webサイトに候補者の文書図画を閲覧できるようにしておくことは、基本的に違うと私は思う。候補者のことを知りたいと思う人以外はみることはできないし、自然と目に触れることもない(公衆電話ボックスなどに文書図画を置いておくケース)。また選挙運動の「文書図画」規制のひとつである“武器対等の原則”にも触れないと思う。いまやWebサイトを開設することは、多額の費用がかかる訳ではないからである。

ITの推進とか何とかと自公合体政権政権は盛んにいうが、こういう対応をみるとインターネットの普及や推進に具体的には関心がないということである。ある新聞記者から聴いたのだが、ある都知事候補の政見放送がインターネット上で観られるようになっており、それに対するアクセスが50万件あったという。私も観てみたが確かに面白い。このケースについて東京都選挙管理委員会と総務省と警視庁がどう対応するのか、じっくりとみておこう。

それでは、また明日。

  • 07年04月07日 01時41分AM 掲載
  • 分類: 7.通信・IT政策

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