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幼稚で危険な「戦争バカ」

15年03月01日

No.1739

政治にとっていちばん重たい課題は、戦争である。ひとたび戦争が起こった場合、被害は甚大であり、その被害を(こうむ)るのは国民である。だから、政治家は、戦争というものを勉強しなければならないし、戦争のことを知らないで防衛政策を論じるのは、愚かであると同時に危険である。わが国はいまや、戦争前夜のような雰囲気にある。しかし、戦争のことを勉強もしないで、戦争のことを平気で論ずる者の、なんと多いことか。

集団的自衛権行使容認の閣議決定の結果としてて、安全保障関連法を見直したり、新たに制定する作業が加速している。安倍首相は、昨年の秋頃から「あらゆる事態に、切れ目のない対応を可能とすることが重要だ」と口にしている。私は防衛族ではなかったが、政治家である以上、防衛問題・防衛政策に常に関心を持ってきた。しかし、防衛政策を論じる際に、“切れ目のない対応”という表現を使った論議を聞いた記憶がない。

安倍首相が切れ目のない対応を目指しているのは、どうも「自衛隊による海外での後方支援活動を可能とする法律」であるようだ。わが国の憲法では、戦争をしている一方の当事国や当事国軍に自衛隊を派遣して軍事的支援するなど、認められる筈がない。しかし、直接の戦闘行為でなければ、すなわち“後方支援”ならば許されるということで、アフガン戦争とイラク戦争の際に、後方支援のための特別措置法が制定された。

アフガン戦争の時は、インド洋における多国籍軍に対する給油等を可能とする「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」(略称「テロ特措法」)であった。

悪名高いイラク戦争の時に制定されたのが、「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」 (略称「イラク特措法」) であった。最初は4年間の時限立法だった。2007年3月の閣議決定で2年間延長したが、期限の到来により失効した。

どちらの法律も、戦争をしている一方の当事国であるアメリカ(およびその同盟国)が行っている軍事作戦(戦争行為)に対して、わが国の自衛隊が、後方支援という名目で軍事的支援を行うというものであった。戦争ということを少しでも知っている者ならば、これは、「アメリカ等と一緒に他国への戦争に参加することを意味している」と分かる。直接の戦闘行為に参加するのでなければ、戦争に加担することにならないなどいうマヤカシは、戦争・軍事の世界では通用しない

以上のように、テロ特措法もイラク特措法も、他国への戦争を禁止している憲法9条に違反していることは、明らかである。自民党単独でこのような法案を成立させるのは、政治的に極めて困難であった。しかし、公明党の賛成と世界的な9・11ショックで、両法律は成立した。公明党が自民党と連立を組んで行った反国民的な行為の代表的事例が、この法律の制定と、これに基く自衛隊の海外派遣であったことを、忘れてはならない。

参議院選挙で自民党が敗れたので、テロ特措法の延長の際に、国会が紛糾した。インド洋におけるアメリカ軍等への給油を継続するため、当時の安倍首相は苦戦した。それが原因となって、安倍首相は退陣せざるを得なくなった。安倍首相には、これが相当に堪えた。だから、“切れ目のない対応”という表現が出てきたのだろう。しかし、他国への戦争参加を、“切れ目なく”やっていい筈がない。バカも休み休み言え、と国民は本気で怒らなければならない。

安保法制を巡る与党協議なるものが、また始まった。憲法9条が禁止している他国との戦争について、またバカバカしい机上の空論が延々と繰り返され、これが無批判に報道される。その中で、私がいちばん関心を持ち憂慮しているのが、先に述べた「自衛隊による海外での後方支援活動を可能とする法律」である。安倍首相は、“切れ目のない対応”をするために恒久法を作るという。しかし、それは“切れ目なく戦争を行える”恒久法を作るということである。

それでは、また。

  • 15年03月01日 05時09分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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