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穏やかな憲法記念日に。

14年05月03日

No.1667

憲法記念日の今日、東京は爽やかな初夏の陽気である。樹木や草花は、今を盛りに新緑を競っている。新緑の候、真っ只中だ。今日からゴールデンウイークの後半が始まり、多くの国民が行楽に出かけている。観光地などはどこも大盛りであろう。私も、明日から姉と甥っ子を連れて、東北地方に出かける予定だ。3・11後、私は被害の状況をこの目で見た。3年後どうなっているのか、一部ではあるが、シッカリと見ておきたいと思っている。

戦後のわが国の復興は、憲法と共にあった。奇跡と呼ばれたわが国の復興は、日本国憲法の存在にあった。日本国憲法の制定を抜きに、戦後の歴史も、復興も繁栄も語ることはできない。戦前のわが国の在り様と現在のわが国の在り様は、根本から大きく異なる。それを分かつのが、大日本帝国憲法と日本国憲法の原理原則なのである。戦争に負けたからわが国が良くなったのではない。諸般の事情で憲法を改正したから、わが国は良くなったのだ。

それを祝うのが憲法記念日である。もちろん、多くの国民が家族で行楽や旅行に出かけてよいのだが、その家族や家庭の在り方まで大きく変えたのにも、日本国憲法の制定があったことだけは、忘れないで欲しい。戦前を知っている国民は、このことを肌で知っていた。だから、憲法など詳しく学ばなくても、多くの国民は日本国憲法を支持してきたのだ。

この基本は、現在もあまり変わっていないと私は思っている。政府が憲法の基本原則を変えようとすると、国民は強く反発してきた。国家機密保護法の時もそうだった。集団的自衛権の行使を認めるかどうかについても、国民は強い関心を持っている。憲法9条の大々的改悪となると、国民は断固として反対するであろう。だから、安倍首相は憲法の解釈を変えることにより、集団的自衛権の行使を可能にするという。それも、極めて例外的かつ限定的にと。

どんな法律であろうが、現実の問題を解決するために解釈が必要になる。その解釈を権力者が勝手にできないように、法律はできるだけ厳密に規定しておくのだが、それでも、すべての現実問題をそのものズバリという訳にはいかない。だから、あらゆる法律にはその解釈が必要となる。それは、憲法と言えども同じだ ─ 否、憲法は基本法だけにその解釈がより多く必要になるのだ

憲法制定議会ともいうべき国会で、吉田茂首相は「自衛のための戦争も放棄する」と答弁した。しかし、自衛のための武力行使も許されないというのはあまりにもおかしいのではないかということで、自衛隊の創設は憲法解釈の変更により行われた。それでもなお、国民の中には自衛隊を違憲と考える人々も多くいたのだ。現在のように多くの国民が自衛隊を合憲と認めるようになったのは、関係者の必死の努力があったのだ

集団的自衛権の行使を認めることは、憲法の解釈の変更では無理である。憲法9条を縦から見ても横から見ても、集団的自衛権の行使を認める余地はない。憲法9条の目的は、憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすること」なのである。わが国が現実に武力攻撃を受けていないのに、他国の武力攻撃に対しわが国が武力攻撃を加えることは、政府の行為によって戦争が起こるのにつながるからである。これは、世界の戦争の歴史が教えるところである。

戦争の放棄は、わが国の国是なのである。これを他国がどう評価しようが、国是は国是なのである。スイスの国是は、永世中立である。スイスも、この国是について、現実にはいろいろな困難があった。しかし、スイスはこの国是を貫き通した。これを軽蔑する国際世論はない。わが国の戦争放棄の国是も、国際的に広く認知されてきている。尊敬されることはあっても、軽蔑や非難の対象になったことはない。

この連休中に、安倍首相と石破自民党幹事長は外国に行って、わが国も集団的自衛権の行使をするようになると発言している。彼らがどのように考えようが勝手だが、彼らは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条文を知っているのだろうか。憲法99条の、憲法擁護義務と呼ばれるものである。最近、この条文に忠実なのは、天皇陛下だけである

戦争という手段で国際紛争を解決することは、決して万能ではない。これは、現在の世界の国際紛争を見れば明らかだ。戦争という手段を放棄している以上、わが国は国際紛争を起こさない・巻き込まれないようにするために、他国以上の努力を日常普段に積み上げなければならない。わが国はそのような努力をしてきたから、国際紛争を起こさず・巻き込まれることもなく、平和な国際関係を保ってきた。これは、大きな誇りにして良いことである

日米同盟があるから安心だ。「来るなら来い」と言わんばかりの安倍首相とその仲間の考えでは、わが国の平和は守れない。そもそも、日米同盟とて永久に保障される訳ではない。わが国の独立と平和と繁栄は、わが国とわが国民の努力で築け上げていかなければならないのだ。それが、真に責任ある政治家が訴えるべき道である。私は、安倍首相や石破幹事長に、そのようなものを少しも感じることができないのだ。

それでは、また。

  • 14年05月03日 04時35分PM 掲載
  • 分類: 5.憲法問題

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