ヘッダバイパス[j]ump
liberal-shirakawa.net 白川勝彦 Webサイト (HOMEへ)
白川勝彦へメールを送る
永田町徒然草を閲覧しています
自薦論文を閲覧します
白川文庫を閲覧します
フォトエッセイ即写一言を閲覧します
永田町徒然草
自薦論文
白川文庫
フォトエッセイ 即写一言
プロフィル
リンク

 

「成長戦略」への疑問

13年06月16日

No.1582

アベノミクスなるモノは、三本の矢からなるという。第1の矢は「大胆な金融政策」。第2の矢が「機動的な財政政策」。そして、第3の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」だと言われている。第1の矢として、バズーカ砲と呼ばれた大胆な金融緩和がなされた。第2の矢としては、大規模な公共事業予算が付けられた。その結果として、確かに円安・株高になったが、最近は、一時ほどの勢いはなくなりつつある。

第1の矢も第2の矢も、「成長戦略」が効果を発揮するまでの“つなぎ”的政策に過ぎないという。アベノミクスの成否は、「民間投資を喚起する成長戦略」が実行されるか否かによると、アベノミクスを支持する人々でさえ認めている。それはそうだろう。後先を考えず、見境もなく、ジャブジャブとおカネを市場に流せるものではあるまい。1,000兆円を超える国債残高があるというのに、そもそも、機動的な財政政策などやれる訳がない。

ここにきて逐次、安倍内閣の「成長戦略」なるモノの骨格が発表された。アベノミクスを支持する人々からいろいろなコメントがなされているが、いずれも限定的な評価が大半である。彼らにしても、アベノミクスなるものを本気で信じていないからなのであろう。賛成のコメントを発する人々は、主として経済評論家や経済人である。

いっぽう私は、いつも言っているとおり、経済の素人である。しかし、アベノミクスなるモノは、経済理論でもなければ、経済学の論争でもない。わが国の経済をどうするかという、極めて政治的なテーマであり、国民の生活と暮らしが懸かっている現実的なものである。私は、そういう視点から、アベノミクスに対する疑問点を挙げてみたいと思っている。

「成長戦略」という用語が、わが国の政治の世界で使われ始めてのは、いったい何時頃からなのであろうか。私が国会議員をしていた時には、少なくとも“「成長戦略」なる政治用語”はなかった。成長戦略という言葉がわが国の政治で頻繁に使われるようになったのは、私の記憶では、民主党政権時代の国家戦略局(室)あたりだったとような気がする。

彼らが「成長戦略」を使う場合、それはもちろん「経済を成長させる戦略」という意味であった。しかし、彼らの政治的能力は未熟だった。政治用語として「戦略」という言葉を使う場合、戦略と同時に必ず「戦術」ということを対比・意識していなければならないということである。民主党政権時代も、安倍内閣においても、成長戦略という言葉が使われても、これを発する人たちには“戦略と戦術の区別”ができていないようだ。

今回発表された成長戦略なるものは、戦略と戦術の区別に従えば、すべて戦術の類に過ぎない。それも、あまり出来の良くない戦術である。これを書いたのは、おそらく各省庁の官僚たちであろう。それも、課長より下の若い者。そこには、自民党の族議員も絡んでいるようだ。が、そもそも戦略が適切に提示されなければ、明確な戦術など描けるものではない。

戦略と戦術の上下関係は、もちろん戦略が上位である。わが国の経済を成長させようと考えるならば、何が重要であるかを心しなければならない。そのためには、わが国の経済の成長を妨げていたものを、先ず知らなければならない。「わが国の経済が持てる力を発揮できないのは、自由主義経済の大原則が官僚によって阻害されている」からである、というのが私の持論である。官僚という存在は、そもそも自由主義というものを理解できない人種なのだ。

自由主義をわが国ではじめて宣言したのは、昭和憲法である。その昭和憲法を理解できず、これに敵意を抱き、昭和憲法を改悪しようという安倍首相やその側近たちに、自由主義的経済運営の指針や妙味を提示できる筈がない。正しい戦略を持てない安倍内閣が、正しい戦術を提示できないのは至極当然のことではないか。この程度のことは、外国の優れた学者や政治家によって見破られているのだ。だから、第3の矢を発表した途端に株価が暴落したのだ。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 13年06月16日 08時15分PM 掲載
  • 分類: 5.憲法問題

白川勝彦OFFICE   白川勝彦へメール送信 ]

Valid XHTML 1.0 TransitionalValid CSS!Level A conformance icon, W3C-WAI Web Content Accessibility Guidelines 1.0

Copyright©K.Shirakawa Office 1999-2016 - Web pages Created by DIGIHOUND L.L.C. All Rights Reserved ©1999-2016
Powered by Nucleus CMS. Page designed by James Koster.Ported to Nucleus by Joel Pan. Re-design and adjusted by DIGIHOUND L.L.C. © 2006-2016