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昭和憲法の正念場。

13年05月11日

No.1570

ようやく、5月らしい陽気になってきた。しかし、この週末は全国的に、天候があまり良くないようだ。こういう日は、白川サイトを訪れる人が増える。そんなことを見込んで、今日は少し生真面目な話をしようと思う。連休明けの今週、日本の株価が非常に上がった。日経平均株価の5月2日の終値は、13,694円であったが、5月7日に14,180円、5月10日には14,607円となった。連休を挟んだとはいえ、4営業日で913円の値上がりである。

この間、ニューヨーク市場もロンドン市場でも、株価は上がっていた。ニューヨーク・ダウは、史上最高値をつけている。それにしても、4営業日・7日間で913円の株価上昇は、確かに極めて大きい。壁といわれてきた1ドル100円が突破されたので、日本の株価は、来週、さらに上昇するのではないか。そんなこともあって、マスコミはアベノミクスを盛んに持ち上げている。国民の一部にも、安倍首相や自民党を誉めちぎっている向きがある。

アベノミクスなるものは、特別な経済理論でも経済政策でもない。世界的な金融緩和に並んで、日本も踏み切っただけのことである。経済理論を踏み外した金融緩和をした場合、その弊害が現れる。世界の各国で、既にそういう現象が起こっている。わが国でも、インフレが起こることになろうが、インフレは良いことだと主張しているのだから、アベノミクス信者は、インフレを弊害と考えていないのであろう。

経済の話はこのくらいにして … 株価上昇などで舞い上がっている安倍首相や自民党は、いよいよ憲法改正を本気で打ち出してきた。安倍首相は、来るべき参議院選挙で、参議院でも3分の2以上を確保して、憲法96条の改正規定を「3分の2以上から2分の1以上」にする、憲法改正の発議を行おうとしている。そういうことになれば、日本国憲法は“なし崩し的”に変更され、わが昭和憲法は、必ず死滅する

わが国の戦後の復興は、昭和憲法なくして決して実現できるものではなかった。昭和憲法こそ、わが国を自由主義体制の国に変革したのである。昭和憲法は、わが国の政治・経済・社会全般のあり方を、革命的に変革する役割を果たしてきたのである。だから、私は「南無昭和憲法」だというのである。

明治維新において、自由主義思想がわが国にも入ってきたが、残念ながら自由主義思想は、主流とはならなかった。反自由主義思想の持ち主が多かったからだ。いっぽう、戦後においては、社会主義的思想がそれなりに強くなり、自由主義思想が主流になるには、それなりの困難があった。昭和憲法の理想が現実化していないのは、厳然たる事実である。わが国の自由主義は、未だ発展途上にあるといっても良い。

私は、徹底した自由主義者である。わが国の発展には、自由主義の道を忠実に歩むしかないと、私は信じている。いま、憲法改正を主張している者は、この昭和憲法に敵意を持っている人たちなのである。昭和憲法に敵意を持つということは、憲法9条だけでなく自由主義そのものに敵意を持っていること。そこに、注意しなければならない。テレビ番組などに登場する人物を見ていれば、それは、良く理解できる筈である。

政治家が憲法をどう考えているかは、極めて重要である。その国の憲法は、その国のあり方を決定づけた革命などの理想を具現化したものだから、だ。ある政治家の憲法に対する考えを聴けば、その政治家の本性を知ることができる。これから参議院選挙が終わるまで、いろいろな政治家が、昭和憲法についても語る。それを通じて、私たちはその政治家や政党の本性を知ることができる。絶好の機会ではないか。

これから行われる憲法に関する議論を見分ける参考には、『マスコミ市民』という月刊誌に、平成18年10月から平成19年11月まで11回にわたり私が発表した小論文がある。その連載を決意したのは、最初の安倍内閣の誕生であった。この連載は、当白川サイトの憲法改正講座『昭和憲法とは』として掲載しているが、時宜を得ているのと、問題の重要さから、これから、ゼロと5の日に、永田町徒然草において再掲する。ご一読の上、憲法論議の参考にして頂ければ幸いである.

それでは、また。


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  • 13年05月11日 09時26分PM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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