まず社会保障の改革を!!

12年07月04日

非常に単純なことだが、税金は安い方がよい。税金は法律に基づいて、否応なしに、国民から国家が徴収するお金である。国家が対象とするお金は、国民が主として労働で得たものである。国民が稼いで得たお金だ。他人が稼いで得たお金の上前をはねるのは、その人からもっとも恨まれる行為である。故なく収奪される国民は、国家といえどもこれを許さず、時には、反乱さえ起こしてきた。

だから、日本国憲法は“法律に基づかなければ、国家は税金を課してはならない”と定めている(憲法84条)。消費税5％は、金額にすれば12・5兆円である。大雑把にいえば、国民一人当たり12・5万円である。赤ちゃんやお年寄りを含めて、国民一人ひとりから12・5万円を取るのは、徒(あだ)や疎(おろそ)かなことではない。全部を社会保障に使うという言い訳が通るような、そんな単純な問題ではないのだ。

逆に問う。果たして国民は、一人当たり25万円もの社会保障の恩恵を受けているだろうか。あなたは、そんなに社会保障の恩恵を受けているだろうか。あなたの周囲に、そんなに社会保障の恩恵を受けている人がいるだろうか。そういう人がかなりいることは、確かだ。しかし、それは果たして、その人が本当に望んでそうなったのだろうか。そのような現実を作るために、多くの“社会福祉屋と呼ばれる人たち”が絡んでいる。社会保障の分野にも、野田首相がかつて叫んだという“シロアリ”がいっぱい巣くっているのだ。

わが国の社会保障が劣悪なものならば、社会保障を必要としている人々から、『税金を上げても良いから、社会保障を充実して欲しい』という声が上がってくる筈だ。そのような大きな動きが、あちこちで起こっているとは思われない。「社会保障と税の一体改革」というが、まず必要なのは、「社会保障改革」の断行である。こう主張するのは辛く、勇気の要ることだが、絶対に行わなければならないのである。

社会保障を改革するときにいちばん大切、不可欠な視点は、「保険制度として行うべきこと」と「所得の再分配として税で賄(まかな)うべきこと」の見究めである。保険制度なら、相身互(あいみたが)いだ。仮に、保険の恩恵に与からなくとも、むしろ喜ぶべきことではないか。所得の再配分として行うべきことならば、ぞの税は断じて消費税ではない筈だ。持続可能な社会保障制度を守るために消費税を増税するというのは、間違っている。

社会保障と社会福祉は、現在では、ほとんど同義語として使われている。しかし、社会保障は保険制度に馴染み、社会福祉は所得の再配分機能として行われるものなのであろう。保険制度として仕組まなければならない社会保障の分野に税を投入し始めると、必要な経費は際限もなく膨らむことになる。所得の再配分として税で行う社会福祉には、自ずと上限がある。

このように考えると、野田首相が強調する「どの政党が政権をとっても、消費増税は必要なんですよ」という言も、怪しくなる。どのような政治理念・国家観を持つかによって、社会保障や社会福祉の規模と仕組みは異なるものとなる。民主党・自民党・公明党の3党協議において、自民党と民主党の主張に大きな違いがあったようにみえたが、現在のようなズブズブの社会保障や社会福祉の現状を作ったのは、自公"合体"政権であった。

国民が一生懸命に働いて手にしたお金から一人当たり25万円も取ること自体が、実に残酷なことである。その金で“世界に誇るべき社会保障と社会福祉”を実現したとしても、自慢できないであろう。私は自由主義者であるから、政治家たちに、世界に誇るべき社会保障制度を作って貰いたいなどとは期待しない。そもそも、わが国の政治家たちは、信用に値するのか。「税金が安い国家こそ、最高の福祉国家だ」と、私は思っている。重税国家は、その真逆だ。わが国はいま、重税国家の道を突き進もうとしている。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

• 12å¹´07月04æ—¥ 02時20分AM 掲載
• 分類: 2.国内政治
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