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国栄えて、民滅ぶ。

12年03月11日

No.1540

見出しの「国栄えて、民滅ぶ」は、「国は栄えて、民は滅ぶ」というべきところ、語呂が弱いので敢えて“は”を省いたものである。政治的戦いを行う場合、語呂は大切なのだ。当分の間、私は「国栄えて、民滅ぶ」という表現をたぶん、使うと思う。わが国の政治的戦いは、消費税問題で敵味方に分かれる。本当は「消費税の増税」というべきところ、多くのマスコミはなぜか「消費増税」という。これにも、注意した方が良い。

野田首相は「社会保障と税の一体改革」という。そして、「どの政党が政権を担当しても、待ったなしの課題なんです。それを先送りせずに、断固実行するのだ」という。そこには、「社会保障は、どうしてもやらなければならない」という前提がある。この前提が、果たして正しいのか。正しいとすれば、いま各種の社会保障施策の恩恵に与(あ)かっている人々から、「消費税の増税は賛成だ」という声が上がってきてもおかしくない筈である。

「社会保障を持続可能とするために、消費税を増税する」という前提は、そもそも、本当に正しいのか。正確にいうと、国民が本当にそれを望んでいることなのか。そこを、まず検討してみる必要がある。社会保障といっても、各種多様ある。それらを全部ひっくるめて是非を問う論法は、乱暴かつ卑怯である。「どうしても必要な物を中にいれて、どうでもよい物と一緒でなければ売らないよ」という商法は、卑怯である。それと同じだからである。

いま、消費税をどうしても増税しなければならないといっているのは、財政再建をいう人たちである。その筆頭は、もちろん財務省だ。財政健全化―財政再建は、大蔵省・財務省の家訓のようなものである。それは、大蔵省・財務省の仕事である。彼らは、国民から怨まれようが疎んじられようが、それを貫くことが仕事なのだ。国家にも会社にも家庭にも、それを任務とする者がいることは必要なのだ。

もちろん、それは悪いことではない。というより、できれば、それがいちばん良いのだ。財政健全化を貫くためには、いうまでもないことだが、収支のバランスを保つことである。現在は、政府支出が税収をはるかに上回っている。支出を抑えることが急務なのだ。大蔵省も財務省も、この支出の削減という任務を疎(おろそ)かにしてきたために、現在のような状態に陥ったのだ。

社会保障にしてもそうだ。現在の社会保障を徹底的に見直し、必要がなくなったものは思い切って削減する任務が、彼らの仕事なのだ。社会保障費が国の支出の最大の項目になってから、すでに久しい。それを抑えるために消費税を福祉目的税にするという意見は、昔からあった。年金保険税や健康保険税ならば、サービスとの見合いで収支のバランスをとるのは、間違っていない。基本は、保険制度だからである。

しかし、社会保障の中には、文字どおり所得の再配分機能として行われるものもある。その財源を消費税だけに求めるのは、そもそも間違いである。税全体の中で考えなければならない。消費税に再配分機能を求めるのは、妥当ではない。あくまでも、ひとつの税目でしかない。平成元年に3%の消費税を導入した時の本旨は、所得税の課税最低限を下回る人々からも、少しでよいから税を負担してもらうことであった。もちろん、その全額を投入しても、社会保障など賄うべくもなかった。

社会保障と税の一体改革をいうならば、まず社会保障の実態を見直し改革しなければならない。議員定数の削減でもなければ、ましてや、議員歳費の削減などでもない。さらにそれは、社会保障の見直しの対象ではない。また、それを実行していたところで、浮いて出てくる金額は桁が1桁も2桁も違う。健康保険税や年金保険税のように、国民の選択によって決められるべきものもあるし、生活保護費のように、政治が決断すべきものもある。

一般的にいえば、社会保障が崩壊した場合、貧しいといわれる人々がいちばん困る筈である。平成貧乏といわれる中で、貧しい人々が増えている。“一億総中流”など、今は昔だ。そういう状況の中で、社会保障を持続可能とするために消費税を5%上げるという。金額にして13兆円、1人当たり13万円である。中流の暮らし向きをしている4人家庭から、年に52万円くださいということだ。そんなことをやったら、中流家庭だっておかしくなるぞ!!

消費税を5%上げても良いという政治家は、いったい何を守ろうというのだ。財政再建―財政健全化。要するに、それは国なのである。確かに、消費税を5%上げれば、国は助かるだろう。しかし、いまギリギリの生活をしている国民は、年間13万円取られたら、さらに苦しくなる。年収200万円以下で生活している家庭は、崩壊する。その人たちに、野田首相や民主党がいうところの“社会保障”はいったい何をしてくれているのだ

消費税の増税に賛成する政党や政治家たちに向って、私は「国栄えて、民滅ぶ」と叫びたいのだ。「諸君のいうところの国とは、いったい何なのか? 諸君のいう国に住む国民像を教えて欲しい」と、私は詰問したい。「民が栄えてこぞ国は安泰」は、仁徳天皇以来のわが国の理想の姿である。自由主義者は国民あっての国家であり、国家あっての国民という考えに立たない。私は誇りある自由主義者である。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 12年03月11日 12時52分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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