都民のパフォーマンスは？
07年03月07日
No.357
今日はやはり都知事選について書かなければならないであろう。私はこれまでに何度か都知事選について述べてきた。昨日浅野史郎氏が正式に都知事選への立候補を正式に声明したが、浅野氏も浅野氏の擁立を目論んでいた者も、最初からこうなることは決まっていたのであろう。20日先の自分や自分たちの行動を決められなかったのだとしたら、そのような者がこの東京都政をどうこうしようというのはちょっと僭越なのではないかという気がする。
浅野氏が立候補することを朝日新聞が報道した時点で、最終的に立候補することがすでに決まっていたとするならば、昨日までの過程は作戦かテクニックということになる。確かに名前を知ってもらうことには役立った。知名度を上げるには効果があったとは思う。だが浅野氏や関係者(民主党などの政党を含む)のイメージや好感度を高めることになったかというと、かなりマイナスの面もあったと思う。選挙というのはただ知名度を上げれば良いというものではないのだ。名前と共に好感度を上げていかなければダメなのである。このようなテクニックや作戦を取らなくても、素直にやっていれば知名度を上げることは十分できた筈である。好感度はこんなテクニックを使わなかった方が良かったであろう。
いずれにせよ、遅かったがようやく候補者が出揃ったようだ。これから名乗りを挙げても、テクニックを弄し過ぎたということで、決して良い印象をもたれず有力候補とはなれないであろう。4人の候補予定者のうち、政党の推薦をはっきりと受けているのは、共産党推薦の吉田万三氏だけである。石原氏は自民党の推薦を断った。浅野氏は民主党からの出馬要請を断ったが、民主党などの推薦を受けるのか辞退するのか現時点では明確にしていない。民主党と社民党は浅野氏を支援することを決めているという。浅野氏は情報公開が売りのようだが、この関係を明確に情報公開した方が良いと思う。黒川紀章氏はどの党の推薦でも受けるといっているが推薦する党はいまのところない。
都知事選は、実際問題として石原氏と浅野氏の戦いになるであろう。この有力2氏は、政党の推薦に消極的なようである。石原氏は自民党の推薦を断ったというのか返上したというのか判らないが、要するに推薦候補として立候補しないようである。浅野氏が民主党や社民党の推薦をどうするのかはまだハッキリしていないが、少なくとも推薦を求めてはいない。しかし、自民党や公明党は石原氏の当選のために動くだろうし、民主党や社民党などは浅野氏の当選のために動くであろう。少なくとも世間では、自民党や公明党の推す石原氏VS民主党や社民党などの推す浅野氏とみているのだ。にもかかわらず、この関係をなぜ曖昧にしなければならないのか、私には分らない。政党は、都知事選の有力2氏から蛇蝎のように嫌われているようだ。
石原氏と浅野氏が有力候補とみられているのは、上のような構図があるからである。また両氏も選挙戦ではそれらの政党の支援を期待し、それを織り込んで戦略を立てている筈である。そうであるにもかかわらず、両氏が政党との関係をことさらに曖昧にしようという意図が私には分らない。分らないだけではなく、不自然なものを感じざるを得ない。確かに政党は選挙においても日々の政治においても絶対的な力などもっていない。しかし、選挙や政治において不可欠な役割を果たしていることは否定できない。現に存在しているものを直視してこそ、現実を変えることができるのである。現実を直視しない者に変革は期待できない。
今回の都知事選の主役たちには、名演技や正しい意味におけるパフォーマンスはあまり期待できないようである。私にとって関心があるのは、このような状況の中で、東京都民がどのような政治的パフォーマンス(振る舞いや行動)を示すかということである。そのことをキチンと観ておくことが、今夏の参議院選挙や今後の選挙や政治を占う上で大切だとおと思っている。またマスコミの報道もじっくりと見た方が良い。私の俗悪な政治番組批判が効を奏したなどと自惚れてはいないが、最近の報道ではとって付けたように浅野氏の報道と共に吉田氏や黒川氏が立候補の声明をしていることを紹介している。今日の筑紫哲也氏の『ニュース23』では、吉田氏や黒川氏にも彼の番組に出演してもらいたいとハッキリといっていた。吉田氏や黒川氏が出演を断っている筈がない。こういうことを含めて、じっくりみる必要がある。
それでは、また明日。
