第5回世論調査の結果
08年12月10日
No.1016
すべての新聞とテレビ局で行われた世論調査で麻生内閣の支持率が急落した。それ自体が大きなニュースになり、政治的出来事として政治を動かし始めた。世論調査それ自体は政治的行動でないが、その結果がこうも一斉かつ劇的に報道されると政治的ニュースとなる。数字が政治を動かすようになる。しかし、私はいつもの通り12月9日付の『朝日新聞』朝刊に掲載された第5回連続世論調査(12月6・7日実施。前回調査は11月8・9日)に基づき、現在の政治の流れを“冷静に”分析したいと思う。
まず内閣支持率の変化である。前者が福田内閣、後者は第1回~第3回の世論調査の麻生内閣の支持率である。
データ内容 | データ数値(以下同じ) |
---|---|
福田・麻生内閣の支持率 | 25→19→23→24%‥‥‥41→42→41→37→22% |
福田・麻生内閣の不支持率 | 60→65→59→58%‥‥‥42→38→38→41→64% |
永田町徒然草No.989「第4回連続世論調査の結果」で私は次のように書いた。「調査日の11月8・9日2兆円ばら撒きの方法はまだハッキリとしていなかった。この数日の迷走ぶりは酷かった。結果もバカバカしい。第5回世論調査では麻生内閣の支持と不支持は、大きな事件がなければたぶん大きな変化が現れるであろう。」 私が予測した以上に“大きな変化”が出た。劇的な変化である。マスコミも自民党と公明党も大騒ぎをしているが、なぜ劇的に支持率が急落したのかを究明するすることが重要なのである。そのために世論調査を行っているのだと言っても過言ではない。私にいわせれば、麻生内閣支持率の急落の原因は“2兆円ばら撒き”にある。それなのに、これを見直そうという動きは自公“合体”政権内に一切ない。政治を科学的に捉える力がない証拠である。
次に政党支持率の変化だ。
データ内容 | データ数値 |
---|---|
自民党支持率 | 26→22→22→26%‥‥‥33→30→32→30→27% |
民主党支持率 | 22→26→22→24%‥‥‥23→22→19→24→23% |
支持政党なし | 41→38→41→40%‥‥‥31→34→35→33→38% |
公明党支持率 | 4→3→4→2%‥‥‥4→4→4→4→2% |
共産党支持率 | 2→2→2→2%‥‥‥2→2→2→2→2% |
社民党支持率 | 1→1→1→1%‥‥‥1→1→1→1→1% |
他の政党支持率 | 0→0→0→0%‥‥‥0→0→0→0% |
注目すべきことは自民党の支持率が3ポイント落ちていることである。また民主党の支持率も1ポイント落ちている。一方、支持政党なしが5ポイント増えている。私は内閣支持率のわずかな変化など無視するが、政党支持率の変化はわずかであっても重視する。麻生内閣の誕生で自民党支持率は30%台に回復していたが、福田内閣時代の20%台に戻ってしまった。それでもまだ27%もある。依然として民主党よりも高いのである。麻生内閣がこれだけ出鱈目をやっているのに、自民党・公明党支持から離れた5%の有権者を民主党は支持に結びつけることができないのである。公明党の支持率が2ポイントも落ちている。信濃町は大騒動なのであろう。支持政党なしが5ポイント増えている意味は民主党にとって重大な問題である。浮かれていてはならない。
次に「仮に、いま、総選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか」の数値である。
データ内容 | データ数値 |
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自民党 | 32→30→32→30→28% |
民主党 | 34→32→30→33→36% |
答えない等 | 24→26→29→26→27% |
公明党 | 4→5→4→5→3% |
共産党 | 3→4→2→4→3% |
社民党 | 1→1→1→1→2% |
他の政党 | 0→0→0→1% |
ここでも公明党は2ポイント落ちている。2ポイントは得票数にすると約200万票である。『蟹工船』ブームだというが、共産党は1ポイント落ちている。社民党が2%に増えた。共産党の3%と社民党の2%は、公明党の3%よりはるかに多い。民主党はこのことを基本に据えて政策や選挙を考えなければ戦いに勝てない。今度の総選挙で民主党が勝てばよいのではない。政権交代を成し遂げることが大事なのである。私はいつもこの視点から現在の政治をみている。戦いに勝利する者はいつも謙虚である。謙虚でなければ戦いに勝つことはできない。
第5回連続世論調査について言及すべきことは以上に尽きる。他にもいろいろな質問があり、回答に変化もある。しかし、私にいわせればそんなことは大したことではない。そんな詰まらないことに一喜一憂しているようではダメだ。政権交代を成し遂げることは大事である。大事を成し遂げる者は、堂々と大局を見なければならない。そうした者だけが大事を成し遂げることができるのだ。
それでは、また。