“倦まず弛まず”一筆啓上
08年12月05日
No.1010
自公“合体”政権の問題点はどこにあるのであろうか。毎日伝えられる報道を見ながら国民はこの政権をどのように捉えているのだろうか。昨日の報道でも重要な出来事が幾つかあった。ひとつは年金記録の改竄問題である。社会保険庁が改竄の惧れがあると思い、個別調査したケースの約半数が明らかに改竄された形跡があるという。
二つ目はキャノン・いすゞ自動車などの“派遣打ち切り”の通告問題である。三つ目はクラスター爆弾禁止条約の署名問題である。この他にも例の年金テロ犯人の報道もあったし、道路特定財源の暫定税率問題が現場で再燃しつつある。裁判員制度に関する報道もあった。要するにわが国の政権は複合的に傷んでいるのである。複合汚染という言葉が流行った時があった。拙著『政権崩壊』にかこつけて言えば、“複合崩壊”とでも呼べるのだろうか。砂で作った像が突然完全に無くなるような様(さま)である。あるいは大理石に叩きつけられた上質なクリスタル・グラスが木っ端微塵に壊れていく様である。
あまり聞き慣れない言葉だと思うが、複合崩壊がこのようなものだとすれば一面小気味が好いではないか。麻生内閣のパフォーマンスには潔(いざぎよ)さなど少しも感ずることができない。その典型として私は年金記録の改竄問題に対する舛添厚生労働大臣の答弁や態度を挙げたい。彼は得々として改竄問題を語っているが、厚生労働大臣が社会保険庁の最高責任者であるという自覚がないようである。問題はこの認識である。要するに根本が分かっていないのである。
改竄の責任は舛添氏自身にあるという自覚がない。社会保険庁=自治労=民主党(かつては社会党)であり、政府=自民党(現在は自公“合体”政権)には責任がないと言わんばかりの態度と口ぶりである。舛添厚生労働大臣だけでなく歴代の厚生労働大臣が同じような態度であった。そして年金何とか機構を作って自らの責任を放擲してしまった。マスコミもこの点を追及しなかった。みのもんたなどは「舛添大臣はよくやっている」と持ち上げた。これは詐欺師やイカサマ師の手口である。舛添氏の顔と目をじっと見詰めると、そういう手合いの輩だと感じとれる筈である。
御手洗経団連会長がトップを務めるキャノンが多くの派遣社員の馘(くび)を切ったことにより大量の“派遣切り”が行われるであろう。かつて経団連会長は財界総理と呼ばれ、経団連会長にはSPが付いた。この点は現在でも変わっていないであろう。しかし、最近の経団連会長には財界総理などという自覚は微塵もないようである。
100年に1度といわれる大不況を乗り越える際の最大の問題は雇用問題である。御手洗氏がいの一番に派遣切りを行ったことは、わが国の経済界は大量の馘切りで今回の不況に臨むという意思を表したのである。経団連と政権とは深い関係にある。経団連の幹部は、政府の要所要所の席を温めている。緊急の経済対策として自公“合体”政権はいろいろなことを実施するといっているが、そんなものは単なる口で言うだけであるということを自白しているようなものである。
このように毎日のニュースで報じられることを一つひとつ指摘すれば、問題は至るところにありかつ重大である。こんな政権を許していたのではわが国は壊れてしまう。政権などとうに崩壊していると言わざるを得ない。政権崩壊はすでに現実であり、さらに進んで“日本崩壊”という様である。選挙が伸びたので現場で戦う野党の候補者はかなり疲れていると聞く。バカなことをいうもんじゃない。国民は徹底的に苦しめられているのだ。自公“合体”政権を打倒するために戦い続けなければならない。私も“倦まず弛まず”に永田町徒然草を書き続けることにする。
それでは、また。