世論調査が教えること
08年06月18日
No.842
昨日の『朝日新聞』に2008年6月14・15日に実施した世論調査の記事が載っていた。いろいろなメディアで世論調査の数字が取り沙汰されているが、一つひとつの世論調査に一喜一憂することは正しくない。同じ手法で行われた世論調査を比較検討し、分析することが重要なのである。白川サイトでは、『朝日新聞』の世論調査を基に分析・論評することにしている。
『朝日新聞』の見出しは、「内閣支持 やや回復23%」とある。小見出しは「問責は評価二分」とある。このような見出しを付けたのには、『朝日新聞』なりの関心と問題意識があるのである。一般のメディアは、内閣支持率に大きな関心をもっている。しかし、私は内閣支持率の増減にそれほどの関心をもっていない。内閣支持率というのは意外にいい加減な数値なのである。
『朝日新聞』の世論調査によれば、福田内閣の支持率はこの2ヶ月間、25→20→19→23%と変化している。最後から3つ目の調査は4月30日・5月1日(水・木曜日)であった。私は調査日の曜日を重視するのでこれを無視すると、4月19・20日と5月17・18日と6月14・15日(いずれも土・日曜日である)の1ヶ月ごとの支持率の変化は、25→19→23%である。25%と19%は、誤差の範囲を超えている。しかし、19%と23%は、ぎりぎり誤差の範囲といえる。その証拠に他のメディアの世論調査では、引き続き支持が下落しているというものもある。
結論からいえば、福田内閣の支持率は下がってはいないが特に上がっていると断言することまではいえない。内閣支持率の少しの増減はあまり気にする必要はないのだ。内閣支持率とは、所詮いい加減な数値なのである。不支持率も同じだ。上記と同じように4月から6月までの不支持率の変化は、60→65→59%である。65%と59%は、誤差の範囲といえない。しかし、福田内閣の不支持率は60%前後なのである。5月17・18日の数値は、ガソリン税の暫定税率の復活と後期高齢者医療制度で自公“合体”政権への怒りが最高潮に達した時点での数値と見る方が正しいと思う。
しかし、政党支持率は簡単に変化しない。上と同じ時点の自民党支持率の変化は、26→22→22%である。民主党支持率の変化は、22→26→22%である。支持政党なしは、38→41%と増えている。26%あった自民党支持率は、下がってもいないが上がってもいない。民主党支持率は、元の22%に戻ってしまった。支持政党なしが38→41%と増えている。この2ヶ月間の政治の動きを国民は実にシビアにみているではないか。
以上の数値の変化をあなたはどうみるか。国民は道路特定財源の暫定税率の復活とそれに対する野党の闘い振りを、実に正しくかつシビアにみている思う。誤魔化しはできないのである。いまなお、ガソリンは値上がりしている。野党はガソリン税をはじめとする道路特定財源の暫定税率問題を過去のものとしてはならない。国民は野党がこの問題を過去のものとしていると思っている。さぁ、野党よ、どうする。これが、今回の『朝日新聞』の世論調査から読み取らなければならないことである。
それでは、また。