使い方より取り方が問題なのだ!
08年05月10日
No.802
ゴールデン・ウィークを境に永田町徒然草のテーマはガラッと変わった。確かに“熊汁”から“中国の戦略的弱点”などと話はあちこちに飛んでいる。しかし、道路特定財源の暫定税率問題を忘れている訳ではないので安心願いたい。昨日の参議院のなんとか連合審査会で「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案」が否決された。これを受けて、自公“合体”政権は5月13日にもまたこの法律案を再可決するという。
この法律案は、まず法律名を変えるという。「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律」を「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に改める。だからマスコミなども今回の法律案をいろいろな名前で呼んでいる。名は体を表すというが、「道路整備費の財源等の特例」と「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置」とはいったい何が異なるというのだろうか。専門的には理由ない訳ではないが、たいした問題ではない。要するにガソリン税や軽油引取税などの暫定税率(もちろん本則税率も含む)で国や都道府県に入ってくる税金を道路整備に使うことを主たる内容とする法律である。
この法律によってガソリン税や軽油引取税などの税金=税収がいわゆる「道路特定財源」となる。この法律で道路特定財源にするという措置は「平成20年3月31日まで」とされていた。ガソリン税などのの暫定税率と同じようにその期間は過ぎたのである。それをまた復活しようというのだ。もしこの法律が成立しなければ一体どうなるのか。ガソリン税などの暫定税率(国民が暫定的に納める税金ではない。国民には永久に戻ってこない!)で国や都道府県に入ってくる税金は一般財源となるのである。一般財源であるから特に使途は限定されない。要するに何にでも使える財源=税金になるのである。
福田首相は2009年から道路特定財源の全額を一般財源化するといった。こんど再可決しようという法律案には、1年限りと書かれていない。ところが4月30日に再可決で、ガソリン税などの暫定税率はあと10年間延長された。福田首相のいうことを担保するためには何らかの措置を講じなければ、ガソリン税などの税収は道路特定財源となる。そこでいろいろなことをゴチャゴチャやるというのだ。
まぁ、いいだろう。それにしてもたった1年しか意味をもたない法律案を再可決によって成立させようというのだから泥縄・ドタバタである。自公“合体”政権は“粛々と成立させる”といっているが、このような泥縄・ドタバタを粛々とした政権運営など決していうことはできない。道路特定財源の一般財源化が野党の目標だとすれば、福田首相は来年から一般財源化するといっているのだから、概ね目標を達成することになる。10-1=9で、確かに90%の勝利だ。本当にそれでいいのか。国民は決して納得しないであろう。
今回問題になっている法律案について、私は今後あまり言及するつもりはない。それは以下に述べる理由からである。道路特定財源を一般財源にするというのは、税の使い方に関する議論である。税の使い方に関する議論よりもっと重要なことは、税の取り方関する議論なである。政治の基本は税金だといわれているが、それは使い方ではなく取り方なのである。新しい税を導入するとき、国民は納得できなければ激しく抵抗する。これは多くの国々の歴史が教えている。
道路を整備するということで暫定的に課せられているガソリン税などの高い税金に国民は反対しているのである。自公“合体”政権は国民が反対している暫定税率を今後さらに10年間も徴収することを決めた。野党が戦わなければならないのは、この点なのである。ガソリン税の本則税率まで国民は反対したか。道路の整備が必要なことなど道路族がさも重大事のようにいわなくとも、国民は分かっている。そのために徴収される税金と道路整備のバランス・按配具合を国民は問題にしているのだ。依然として“暫定税率廃止一本槍”が良いのである。
それでは、また。