責任者は誰なのか!?
08年02月20日
No.714
海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」(基準排水量7750トン、全長165メートル)が、マグロはえ縄漁船清徳丸(7トン、同12メートル)と衝突した海難事故で、船外に投げ出された吉清(きちせい)父子の捜索が寒風の中で同僚の漁師の皆さんたちも一緒になっていまなお必死に行われている。私は山国育ちなので船のことはまったく知らない。なぜこの海難事故が起ったのか、その原因と責任について語る知識はまったくない。
この海難事故が起こったのは、2008年2月19日午前4時07分だった。「あたご」が海上保安庁に事故を通報したのは、午前4時23分。海上幕僚監部オペレーションルームに事故の通報が入ったのは午前4時48分であった。防衛大臣秘書官に連絡が入ったのは午前5時38分、総理大臣秘書官に連絡が入ったのは午前6時00分ころだったという。このことについて福田首相は「担当大臣に連絡がいくのは確かに遅かった。なぜ、そのように遅くなったのか、よく調査すべきだ。直さなければいけないと思う」「自衛隊、防衛省の人が何が大事かよく考え、どう対応すべきか考えてほしい」と語ったという。
私はこのころ早起きしてテレビをみながら永田町徒然草を書いていた。『おはよん』でも4時半から始まるNHKニュースでも、「千葉県野島崎沖40kmでイージス艦と漁船が衝突した」との第一報はどんどん流されていた。それなのに防衛大臣も総理大臣もぬくぬくと眠っていたというのだろうか。福田首相の発言は、能天気というより見識が問われるものである。「担当大臣に連絡がいくのは確かに遅かった」というが、「自衛隊の最高責任者は自分である」という認識が福田首相にはまったくないのである。総理大臣の資格が問われる発言である。こんな総理大臣はもう辞めてもらうしかない。
漁船の船長父子がまだ見つからないのは、最初の対応に問題がなかったからではないのか。この海難事故の一方の当事者は、自衛艦である。その最高責任者は総理大臣である。この事故の通報を受けた総理大臣が、イージス護衛艦「あたご」に指示しなければならないことは“被害者の救出”である。「海上自衛隊の命運に懸けてあらゆる手段を講じても救出せよ」と総理大臣が厳命していれば、事態は現在と変わっていたのではないか。日本の自衛隊の志気はきわめて高いという。船長父子は救出できていたのではないか。政治も防衛も結果がすべてである。今日はこれだけをいっておく。
それでは、また。