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異常と思うこと!?

08年02月18日

No.712

今日のテーマは、率直にいって難解であり、微妙な問題である。下手をすると誤解を受ける可能性もある。しかし、一度はやはりもう一度書いておかないとこの問題のいちばん大切なことを見失うことになる。この問題をようやく少しは冷静に考える雰囲気となってきた。わが国では何をいっても相手にされない時がある。そんな時に物をいうほど私もお目出度くはなくなった

このサイトは政治的サイトである。だから大きな社会的事件であってもそれをマスコミと同じように取り上げることはしないのである。20日間くらい、中国製冷凍餃子問題がニュースの中心に取り上げられてきた。中国製冷凍餃子はいうに及ばず中国製冷凍加工食品や中国産食料品が消費者から敬遠されており、売り上げが激減しているようである。食料自給率が39%を割っていることに改めて関心が高まり、国産の食料や食品の価値が見直されている。それは結構なことである。食の安全に関することであるから、当然なのであろう。

こうした問題が政治のテーマであること確かである。食の安全を守るために農業政策を含めて考えることはもちろん重要である。また問題の殺虫剤がどこで混入されたのか、その原因や動機がどこにあったのか解明することも大切である。いま事件の関心はこちらの方に集まっているのではないか。こうしたことに水を差すつもりは毛頭ない。いやすべての問題について真剣に深く考えて欲しいと願っている。一過性の関心で終わって欲しくない

しかし、これだけ多くの報道があったのに、いちばん単純で大切なことがまったく見逃されている。私にいわせれば、この問題を避けるためにあえていろいろな情報が流されているのではないかとさえ感じさせられるのである。私がいいたいことは単純なことである。すなわち、「今回問題になった中国製冷凍餃子を食べたために健康異常を憶えた人が多数おり、それをスーパーや保健所などに通報したのに国の機関がこの情報を集約し、適切な対策を行わなかった」ということである。この前、ある新聞記者と話したときその記者は3000件以上もあったといっていた。私がいちばん恐ろしいと思ったのはこのことであり、このことを誰も本気に問題にしないことが異常でならないのである。

食の安全を確保するための多くの論点を専門家がそれぞれの立場で論じている。それらはもちろん大切なことだが、いずれも一般的な政策である。一般的政策と私がいうのは、安全な食品をどのように確保するかという問題である。それは大切なことだが、そもそも絶対に安全な食品だけしか市場に流通しないシステムを作るなどということは可能なのであろうか。それは絶対にあり得ない。仮にそのようなシステムを作ったとしても、“故意あるいは過失で”危険な食品がそのシステムの中に入ってくることはあり得る。その場合に一般的政策は意味のないものとなる。それを避けるためには昔のお殿様に毒見係がいたように誰かから毒見をしてもらった後に食べるしかない

だが消費者が食する前に誰かが毒見をする仕組みを作ることは不可能である。他人の作った食品に依存する限り、絶対に危険がない食品ということはあり得ない。安全な筈である食品に生命や健康に害を与えるものがあった場合に、どのように対処するかという問題である。その被害を最小限に食い止めるしかないのである。これは危機管理の問題である。もちろん危機管理は政治の課題である。いや政治の基本的テーマといってよい。政治の本領が問われる問題である

危機管理の問題として考える場合、生命や健康に害を与える食品がどこで生じたのか、それが故意によるものか過失によるものか、その原因が食中毒などのように細菌類などによるものか今回のように科学的物質によるものか、このようなことは一次的には重要なことではない。生命や健康に害を与える食品が存在し、それを食したために異常が発生したことを可及的すみやかに掌握し、同じような被害を最小限に食い止める対策を講じることが危機管理の問題としては重要なのである。

今回の一連の報道でこういうことが果たして問題とされたのだろうか。今回の事件が発覚した後、輸入販売した業者や保健所など厚生労働省関係の機関や警察当局などの対応を、危機管理の面からとらえて問題とする報道があっただろうか。今回の事件発覚後、政府はさっそく中国に調査団を派遣したが、危機管理上の反省を果たして深刻にしたのだろうか。危機管理の問題は、基本的に国内の制度にある。消費者庁を創設しようという理由のひとつに、今回の事件が引き合いに出されている。消費者庁がなかったから、今回のような不手際や手落ち生じたといいたいようである

今回のような事件が発生するいちばんの危険性としては、テロをいちばんに想定しなければならない。わが国の政府はアメリカと同じくらいテロ対策に熱心だといわれている。そのため都会からゴミ箱は追放され、国民は10万円の送金も自由にできなくなった。国民は従順にこれに従っているのだが、肝心の政府のテロに対する現実の危機感はここで私が指摘した通りなのである。私は立派な能書や宣伝文句をいうのは上手だが、実が伴わない人種を好きになれない。率直にいって嫌いである。今回の一件は、自公“合体”政権の本質を暴露したと感じたのである。

最後に今回の小論は、いろいろな点で未完である。たとえば、食品という言葉も不用意に使っている。野菜や肉や魚のような食料も加工食品もお店の料理も全部をひっくるめて“食品”とした。現在の組織で今回の事件に対応できなかった筈はないということも検証していない。また新たな組織を作る要諦は何かということも論じなければならない。これらについては、別に論じた永田町徒然草No.696“喝!!”同No.270「興一利不若除一害」を参照してもらえれば幸いである。また私の意見に自信がなかったのでいつもの平成海援隊BBSに書込みをして皆さんの意見を求めた。時間があったらこちらも一読いただきたい。


それでは、また。

  • 08年02月18日 10時58分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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