政治の基本は!?
08年02月03日
No.697
今日は東京も雪である。窓の外では雪がそれなりに降っている。地面をみると白くなっているが、樹木は意外にも白くなっていない。樹木は生きているので、やはり少し熱を持っているのだろうか。早朝に渋谷から自宅に帰るとき、雪が降っているというより霙(みぞれ)であった。昨夜は漫画喫茶で久しぶりに『鬼平犯科帳』を読んでいたのである。深夜パック料金は、7時間で980円。これはかなり価値がある(笑)。
午前9時過ぎに、NHKの『日曜討論』の大きな声で目が覚めた。徹夜をしたので、テレビを点けたまま寝入ったのである。テーマはガソリン税の暫定税率であった。“つなぎ法案”がああいうことになったのだから、このテーマは適切であろう。各党から政策通といわれる人が出ていた。どんな議論をするのか、一応観ることにした。しばらく観ていると、腹立たしくなった。なかなか問題の核心に入っていかないのである。議論がどんどん拡散していく。意図的にそうしているようではないようである。勉強不足なのである。
『日曜討論』は、政治番組である。政治的論争を行う場なのだ。いつもいっているように、政治とは「具体的状況における具体的分析」である。いま問題にしなければならないことは、ガソリン税と軽油引取税の暫定税率(以下、軽油引取税は省略して述べる)を廃止するか維持するかということが問題なのである。維持することを改めて決めないと暫定税率は廃止されることになる。裁判風でいえば、維持する必要性を立証しなければならないのは、これを「改めて10年間維持」しようという自公“合体”政権である。自公“合体”政権の言い分をそういう目で判断するといろいろな点でおかしい。
まぁ、そのことは別にしてもいま問題にしなければならないのは、道路特定財源の一般財源化ではない。国の道路整備計画一般でもない。また環境税の創設でもない。本則税率の倍近く徴収している暫定税率を10年間さらに維持するかどうかが問題なのである。道路特定財源の一般財源化は、道路特定財源に余裕がある場合にのみ議論する意味がある。野党も道路整備そのものが無駄使いと主張している訳ではない。ガソリン税の暫定税率を廃止するだけで、道路特定財源は半減する。野党が無駄だというような道路を作る予算など、実際問題としてなくなる。
国の道路整備計画を議論することは重要である。しかし、それは税の問題というよりも国土計画の問題である。国土計画の中で道路だけ取り出して議論することはおかしい。それはそれとしても、道路はよほど特別なケースでなければ“無駄な道路”というものはないだろう。限られた予算の中で、お互いにその必要性を主張しあって配分することにより、はじめて無駄は排除される。民主主義社会ではそうやって決めるしかないであろう。誰かが絶対者として、あの道路は無駄だと決めることなどできないのである。
なぜいま急に環境税ということを主張する政党が出てきたのだろう。近年地球温暖化がこれほど大きな問題となったのは確かである。しかし、ガソリン税の暫定税率と絡めて環境税を主張するのは、不純な意図があるように思えてならない。仮に不純な意図がなくても、議論を混乱させる。環境税は二酸化炭素を排出する量に着目する税になろうが、自動車の二酸化炭素排出だけを取り上げたのでは、環境対策としてもおかしな税になり目的達成に資することにもならない。
もう一度いう。政治とは、具体的状況における具体的分析なのである。ガソリン税の暫定税率を廃止すると、換言すれば本則税率だけではなぜ必要な道路が作れなくなるのか、自公“合体”政権は説明しなければならない。ただそれだけのことなのである。野党はそのことをもっと具体的に追及しなければならない。あまり議論を拡散させないようにすることが大切である。自公“合体”政権はわざと議論をあっちこっちに拡散しているからである。
“道路にまつわる利権構造”を問題にするもの結構だが、それは暫定税率を廃止しても道路予算がある限り必ず残る。仮に道路特定財源をなくしても、それを一般財源化してもである。これはわが国の官僚と政治家の抜きがたい習性であるからだ。一つひとつ具体的に追及していくしかないのである。それを止めさせるのは、根本的には政権交代をするしかない。野党はいつもそういっているのではないか。
それでは、また。