62回目の長崎原爆忌
07年08月09日
No.513
昨日私は安倍首相を“生けるし屍”といった。その“生けるし屍”が、総理大臣を続投することが99.9%確定したようである。この暑さである。生ける屍は、直ぐに腐敗し、腐臭が日本国中を覆うことになるだろう。もう直ぐ旧盆である。地獄の釜もこのときは閉じるというが、自民党の中は地獄絵さながらである。安倍首相は今月末に党・内閣の役員人事を行うという。こんな改造人事に喜んで応じる魑魅魍魎は、死体に群がるハイエナか蝿である。私たちはおぞましい地獄絵を見なければならない。
自民党の園田博之・元官房副長官(谷垣派)、小坂憲次政調副会長(津島派)ら衆院議員6人が8日、東京・永田町の中国料理店で会合を開き、安倍首相に政策転換を促すため、派閥横断グループを結成することを決めた。
参加議員には、首相の続投に批判的な議員も含まれており、「反安倍」勢力の結集を進める狙いもあると見られている。
会合には、園田、小坂両氏のほか、三原朝彦(津島派)、後藤田正純(同)、渡海紀三朗(山崎派)、山本公一(谷垣派)の各氏が出席した。この日は欠席したものの、野田毅・元自治相(山崎派)も参加する意向を示している。
会合終了後、園田氏は、「倒閣の会ではない。しかし、今の政権では、市場原理主義の修正が足りない。(首相の)タカ派色の強い政治には、共通して問題意識を持っている」と語った。党内に幅広く参加を呼びかけたうえで、初総会を開く考えだ。
一方、構造改革路線を支持する自民党議員からも、首相に対する厳しい意見が噴出した。中堅・若手議員らで作る「改革加速議員連盟」(棚橋泰文会長=津島派)は8日の会合で、「小泉改革以前の自民党に逆戻りさせてはいけない」との認識で一致した。ただ、出席者からは「国民は、首相の続投に違和感がある。辞めないなら、納得できる説明を行い、けじめを付けてほしい」との声が相次いだ。
これに対し、首相は同日、「厳しい意見もしっかりと受け止め、私の(続投の)判断は間違っていなかったと思っていただけるように全力を尽くしていきたい」と記者団に語った。(2007年8月8日23時33分 読売新聞)
安倍首相の続投が99.9%確定したと私が判断したのは、この記事からである。政策グループの結成ということは、もう政局の会合ではないということである。政策研究会が悪いという訳ではないが、政策研究では政治や政局は動かない。政治の世界では、政策とはそんなものである。政治家にとって大切なのは、政策を超えた政治力なのである。この記事に書かれている議員を私は良く知っているが、彼らの勇気はそれなりに評価はするが残念ながらこのメンバーでは安倍首相の首を取ることはできない。
柄にもなく安倍首相が続投するかどうか私が最後まで慎重に見守ったのは、安倍首相が続投する場合と辞任する場合では今後の政局の展開が著しく異なるからである。もちろん政権交代を実現する立場からみれば、安倍首相が続投する方がいいに決まっている。だが党利党略的立場からだけで、この問題を論ずることできない。国政の選挙で惨敗をしても総理大臣が選挙の結果を無視するということは、民主主義の根幹を危うくする所為だからである。私が野党に不信任案・問責決議案を提出すべきと主張したのは、安倍首相のこのような所為を国会の場で断罪する必要があると考えたからである。
安倍首相の祖父である岸信介首相は、日米安保条約の改定に反対するデモ隊が連日国会を取り囲み騒然としたときでもプロ野球の観戦客で球場が一杯であることを引き合いに出し、「声なき声は私を支持している」といった。しかし、結局は退陣せざるを得なかった。またデモ隊などを鎮圧するために自衛隊の出動も検討せよと岸首相が指示したのに対して、それはできないといったのが時の赤城宗徳防衛庁長官であった。今回珍答弁で物議を醸した赤城徳彦農林水産大臣の祖父であった。今日は62回目の長崎の原爆忌である。地獄の中で何十万という人々が死んでいった。原爆しょうがない発言をした久間防衛大臣を安倍首相は罷免しなかったのである。因果は巡るである。
それでは、また明日。